第1回 サイズ、カバー率、スタミナ――次世代通信対応のWi-Fiルーターを横並び比較:モバイルWi-Fiルーター徹底比較(2012年春モデル編)(2/2 ページ)
LTEやWiMAXなどの高速通信が順調にエリアを広げ、「4G」の名を冠するサービスも始まった。理論値では3Gよりも速いものの、実効速度はどのくらいなのか。設定のしやすさに差はあるのか。最もお得なルーターは――そんな疑問に答えるため、5台のルーターを徹底比較。第1回は基本的なスペックをまとめた。
省電力設計にこだわったUQ WiMAX「URoad-SS10」
シンセイコーポレーション製のURoad-SS10は、高速通信をいち早く展開してきたWiMAX対応のモバイルWi-Fiルーターだ。WiMAXのサービスエリアを確認すると、全国の主要都市はもちろん、中小の町もカバーしつつある。最初に開始した東名阪はすでに山岳地以外は広く対応している状況だ。
ルーターはコンパクトで、今回最軽量となる86グラムのボディも魅力。サイズが小さいながらも、連続待機時間が約250時間、連続通信時間が約9時間とスタミナも十分だ。通信をしないときには「休止」するための専用ボタンも側面に用意しており、これを使えば通常の電源オフ→オンよりも早く起動できる。スマートフォンやPCで接続を切ると、自動的に「待受=ウェイティング」状態になる省電力設計となっている。このウェイティング状態は休止状態ではなく、SSIDの発信はしているので、再びスマートフォンやPCがルーターに接続すると1秒で復帰する。なおウェイティング状態がさらに10〜60分(設定可能)すると、自動的に電源オフになる。
通信速度は2011年12月から上りが最大10Mbpsから最大15.4Mbpsに高速化。下りは最大40Mbpsでエリアも広い。さらに「WiMAXハイパワー」に対応しているので、家の中などの比較的つながりにくい場所でもつながりやすくなっている。便利な試みとして、iOSとAndroidでもルーターのステータスを確認できるモバイルブラウザ用「WEB UI」も用意。カラーもブラック・ホワイト・レッドの3色を用意しているのもちょっと楽しい。
価格面での魅力が大きいLTE対応ルーター「Pocket WiFi LTE GL01P」
Huawei製の「Pocket WiFi LTE(GL01P)」は、イーモバイルの下り最大75Mbpsの「EMOBILE LTE」と、下り最大42Mbpsの「EMOBILE G4」、3Gに対応した製品。エリアを見ると、LTEはまだこれからという印象で、6月までに「東名阪などの主要都市で人口カバー率99%」を目標にしている。とはいえ、4月現在のエリアを見ると、全国の県庁所在地を中心に徐々に広がっており、地方のユーザーも都市部で働いている人は購入を検討してよいだろう。また「G4」のエリアは中小の町にも広がっている。
ルーターのサイズはドコモのBF-01Dよりわずかに小さいものの、やはり大きいのがネックだ。しかしその大きさゆえにバッテリーは大容量の3000mAh。連続通信はLTEでも最大約9時間というのは魅力だ。101SIと同じく大きめのディスプレイを搭載しているので、接続状況やバッテリー残量も分かりやすい。microSDスロットを備えており、最大32GバイトのmicroSDHCを使って外部記憶装置としても活用できる。後の回でも触れるが料金面でも魅力があり、「LTEフラット」で購入すれば、端末代は実質0円。毎月の支払いはトータルで月3880円と安い。GL01Pと同じ料金プランで購入でき、よりコンパクトな「Pocket WiFi LTE(GL02P)」も発売されているので、そちらも検討してみてもいいだろう。
ドコモのLTEを利用したb-mobile4G「カメレオンSIM」
日本通信の製品については、ドコモのXiエリアに対応したカメレオンSIMと、SIMフリーのモバイルWi-Fiルーター「b-mobile4G WiFi2」を組み合わせて使用した。カメレオンSIMは5800円で購入後、21日間3Gバイトまでは無料でLTEのエリアでの通信が可能だが、以降は30日か120日のチャージ料を支払って使用する。30日の場合は最大300KbpsのU300/2480円と、速度制限なしの高速定額/5400円、120日の場合はFair 1GB/8800円(120日間で1GBまで使用できる)。U300やFair 1GBは料金的に魅力だが、「高速通信をしたい」「通信量が多い」といった人には選びにくい。このあたりの話も後の回で解説していく。
一方、ルーターは今回もっともコンパクト。重さも約95グラムと軽い。LTEの通信速度はハードウェアとして下り最大100Mbps/上り最大50Mbpsをサポートしているので、今後LTEの通信速度が向上した際に恩恵を受けられるかもしれない。また、b-mobile4G WiFi2は3GのHSDPA/HSUPAにも対応している。SIMフリーなのでカメレオンSIMだけでなくドコモとソフトバンクのSIMカードを挿して使うことも可能だが、その場合はAPNなどの設定が必要になる。
次回は各ルーターの実効速度をリポートする。
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