iPad営業の強力な武器、若手社員が内製――動画で“心に残るプレゼン”を(1/2 ページ)

» 2011年12月12日 10時00分 公開
[佐々木千之、後藤祥子,ITmedia]
Photo 動画クリエイティブチームのみなさん。(左から)宮田さん、高田さん、加藤さん、榎本さん

 言葉でうまく伝えられない、紙の資料だけでは分かってもらえない――。営業経験者なら取引先でサービスや商品を説明する際に、一度はこんな思いをしたことがあるだろう。iPadを初めとするタブレット端末は、こうした課題を解決する新たなプレゼンツールとしても注目を集めている。

 企業向けにiPhone/iPadをはじめとするICTソリューションを提案しているソフトバンクテレコムでは、全営業にiPadを配布し、クラウド上にアーカイブされた動画を活用してプレゼンを行っているという。ユニークなのは、プレゼン用の動画を社内の“動画クリエイティブチーム”で内製している点だ。

 当初は動画作りに魅せられた一部の社内スタッフが、撮影も編集も未経験ながら手探りで作り始めたものだった。しかし、社内の営業から高く評価されたことから制作が本格化。出演者やナレーターを社内でスカウトして集め、すでに100本以上の動画を制作したという。

 同社の動画クリエイティブチームは、どんなプレゼン動画をどのように作っているのか、それは同社の営業にどんな効果をもたらしているのか――。その“仕掛け人”たちに話を聞いた。

 なお、彼らが作成した初期のプレゼン動画は、ソフトバンクモバイルの企業向けイベント「SoftBank Days 2010」のオンデマンド配信で見ることができる(23分50秒くらいからスタートする「ホワイトワークスタイル」の動画)。

Photo 「ホワイトワークスタイル」を紹介するプレゼン動画。社内でロケを行い、社内スタッフが主演している

動画の訴求力を実感、社内で制作に着手

Photo 動画クリエイティブチーム 室長の加藤もと子さん

 動画を制作しているのは、営業推進本部プロジェクト推進室の動画クリエイティブチーム。入社3年目〜5年目の若い社員がメンバーの中心だ。チームを率いる室長の加藤もと子さんは、同社社長の孫正義氏が2010年に発表した「ソフトバンク新30年ビジョン」のプレゼンテーションを見て、動画の活用に注目しはじめたという。

 「もともと我々は、営業本部長のトップ商談用の資料を作成するチームでした。ずっとPowerPointを使って資料を作成していたのですが、孫社長の新30年ビジョンのプレゼンテーションを見たとき、埋め込まれた動画で機関車が動いたりビッグバンがはじけたりするのを見て度肝を抜かれました。動画を使うことで“より伝わるプレゼンになる”ということを初めて認識しました」(加藤さん)

 このプレゼンデータがMac用プレゼンテーションソフトのKeynoteと動画の組み合わせで作られていると知った加藤さんは、すぐにKeynoteで資料を作りたいと営業本部長に直訴。チーム全員分のMacを購入してもらい、動画入りのプレゼン資料を作り始めた。最初に作ったのはeコマース関連企業に対するトップ商談用の動画だった。

 「外部のプロに発注した動画が数百万円もかかったと聞いて、自分たちでもそういう動画を作れないかと思って」(加藤さん)。そこで、制作を持ちかけられたのが榎本圭祐さんだった。

 榎本さんも動画制作に関しては全くの素人だった。「Keynoteどころか、Macすら初めて触った状態。スライドのアニメーションの付け方から勉強を始めた」(榎本さん)。見よう見まねで制作に着手し、Keynoteの機能を組み合わせて動画を作った。すると、「そんなに(数百万の動画と)違わないものができたように思えたのです」(加藤さん)。

 それに気をよくしたスタッフたちは、家庭用ビデオカメラで撮影した映像を組み込むなど、動画作りを進化させていった。チームの面々はクリエイティブな仕事をやっていたわけでもなく、学生のときに特に映像に関わっていたわけでもなかったが、榎本さんが勉強して覚えたノウハウを共有しながら、プレゼン動画作りを極めていった。

 「もともとトップ商談用の資料を作っていたので、いかに相手に伝わる提案書を作るかというところは分かっていました。それに“動画ならでは”の分かりやすさを取り入れながら、バージョンアップしていったのです」(加藤さん)。

 プレゼン動画を使うことで、聞き手はサービスやソリューションの特徴をイメージしやすくなる。営業時の効果が高かったことから、トップ商談だけでなく全社の営業が使える体制を作ることになった。「営業全員にiPadが配られ、現場で活用し始めたタイミングでもあり、動画やKeynoteを客先で見せられる環境も整っていました」(加藤さん)。

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