プラチナバンドが“ベース”なのはauだけ KDDIがつながりやすさの秘密を各地で説明800MHz帯+2GHz帯(1/2 ページ)

» 2012年08月07日 14時37分 公開
[平賀洋一,ITmedia]

 KDDIはこのほど、日本全国の各ブロックで「KDDIの通信品質向上への取り組みに関する説明会」を開催した。札幌・名古屋・大阪で行われた説明会の様子から、“つながりやすさ”を向上させるために同社が各地でどんな取り組みを行っているのか、その様子をお伝えしたい。

 auは、いわいる“プラチナバンド”と呼ばれる800MHz帯の周波数を使って広い範囲をエリア化すると同時に、データ通信の伝送レートが高く大容量の高速通信に向く2GHz帯で通信が混み合う場所をカバーしている。こうした複数の周波数(マルチバンド)を使ったエリア構成では、異なる周波数帯のエリアに移るときに通信や通話が途切れたり、境界部でつながりにくくなったりするが、KDDIでは5年をかけて、基地局の追加やパラメータを調整してきた。それに合わせて、通話のつながりやすさを示す接続率や途切れにくさを示す切断率が改善されている。

photophoto キャリア各社が使用する周波数(写真=左)。KDDI(au)のマルチバンド編成(写真=右端)

photo 全国的なauの通信品質への取り組みを説明する、KDDI TFオフロード推進室長の大内良久氏

 なおドコモのFOMA/Xiも、プラチナバンドの800MHz帯と2GHz帯(東名阪では1.7GHz帯も使用)という組み合わせのマルチバンド構成だ。だがauとは逆に、2GHz帯でベースとなる広い範囲をエリア化し、800MHz帯はスポット的に使われている。

 また、新たに900MHz帯の運用を開始したソフトバンクモバイルの場合、プラチナバンドが用いられるのは、通信が混雑する一部エリアや、郊外など1つの基地局である程度の広さを受け持つ場所が多い。広い範囲をカバーするのは今後も2GHz帯と1.5GHz帯が使われる方針だ。つまり、広範囲をカバーしやすいプラチナバンドと、高トラフィックでも速度が出やすい2GHz帯という、周波数ごとの特性にあったエリア展開をしているのはKDDIだけだという。

 さらにauでは、この春からは3Gデータ通信の混雑を緩和する「EV-DO Advanced」の導入を開始した。これは、基地局の混雑具合をリアルタイムに監視し、混雑している基地局下の携帯電話を、混雑していない周辺の基地局に接続させる技術。通信をうまく分散することで、従来より平均1.5倍のデータトラフィックをさばけるようになった。

 また、公衆無線LANサービスの「au Wi-Fi SPOT」も、各地の店舗や大型商業施設、地下街への導入が進んでいる。多くのスマートフォンでは、Wi-Fi通信を使う場合、3G通信から切り替わる際に通信が途切れてしまったり、3Gが完全に圏外になってからようやくWi-Fiへ接続するなど、切り替え時のレスポンスや挙動に不満を感じている人もいるだろう。しかしauのスマートフォンは、3GからWi-Fiへの切り替えが高速に行えるほか、3Gの電波状態が極端に悪くなる前にWi-Fiへ切り替えるなど、快適に使えるようアップデートされている。

photophoto au Wi-Fi SPOTは、2.4GHz帯だけでなく干渉に強い5GHz帯も使用(写真=左)。Wi-Fi利用時に気になる消費電力の増加も改善している(写真=右端)

エリアは富士山頂から地下鉄トンネル部まで 名古屋TC

photo KDDI 名古屋テクニカルセンター センター長の小松正裕氏

 長野、岐阜、静岡、愛知、三重と中部5県のauインフラを管轄するのが、KDDIの名古屋テクニカルセンター(TC)だ。夏季限定になるが、富士山頂に基地局を設置して携帯電話を使えるようにする一方、名古屋市営地下鉄東山線の一部トンネル部でもサービスを提供している。おそらく同社で一番高低差があるエリアをカバーするTCだろう。

 現在のところ、名古屋TC管内で地下鉄のトンネル部でエリア化しているのは、東山線の名古屋駅から今池駅までの6駅間のみ。今後はこれを延伸するほか、名城線や名港線、鶴舞線、桜通線も順次エリア化していく方針だ。この地下鉄のエリアでは、容量を従来の3倍に増強した専用の基地局が使われている。これは、車両内に集中したユーザーが同時に通信するなど、地上とは異なる通信環境に対応するためだという。

 その中部エリアでは、EV-DO Advancedを6月6日から導入。名古屋駅前では、データ通信のスループットが約2倍に高速化された。また東海地方と言えば、東海道新幹線や東名高速道路、そして4月に開通した新東名高速道路など、東京と大阪を結ぶ交通の要衝でもある。auの携帯電話やスマートフォンは東海道新幹線のトンネル部を含む全線で利用できるだけでなく、名古屋TCが行った実証試験では東京から新大阪まで、一度も途切れることがなかったという。新東名もすべてのサービスエリアとパーキングエリアをエリア化。沼津トンネルや富士川トンネルでの通信品質も向上させている。

名古屋では6月6日にEV-DO Advancedを導入(写真=左)。東海道新幹線は全線がエリア化されている(写真=中)。新東名もすべてのSAとPAでauが利用できる(写真=右)

 前述のマルチバンド構成の最適化により、auサービスの接続率は名古屋駅前で0.6%、静岡駅前では0.9%改善された。切断率は名古屋駅前で0.1%、静岡駅前で0.2%改善されている。数字だけ見るとわずかな変化に感じるが、そもそも接続率は97%前後、切断率は1%以下という数値だけに、改善への努力がいかに地道なものか見て取れる。

 また夏といえば夏祭りや花火大会などの野外イベントが多い季節。KDDIでは“つながるau”を常に実現するため、イベント時に基地局を増設するなどの対策を行っている。名古屋TCでは2011年から15件増えた49イベントで対策を実施。ほとんどは基地局の回線容量を増やしたり、1つの基地局がカバーするエリアを調整することで対応するが、特に人出が多いイベントでは移動基地局車や可搬式基地局を展開する。またスマートフォンユーザーの増加に対応するため、au Wi-Fi SPOTを臨時で立てるイベントもある。

名古屋駅前と静岡駅前で改善された接続率と切断率(写真=左)。イベント時につながりにくくなることも減っている(写真=右)

 こうしたイベント時の対策は2007年以降に始まったもので、対策を打たないころと比べて2011年は、接続できなかった通信の割合は94%減少、発信規制した基地局数は97%減少した。またイベント会場だけでなく、その周辺にある駅や行列ができやすい場所もあらかじめカバーすることで、携帯電話やスマートフォンが使えないということを防いでいる。

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