導入進むiPad利用のカード決済システム、「もっと日本のニーズに根ざしたものに」――フライトシステムの片山氏(2/2 ページ)

» 2012年08月23日 17時30分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
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専用決済ターミナルにはない機能を盛り込む

 ペイメント・マイスター Ver3.1に追加された、1台のスマートデバイスで複数の加盟店契約を切り替えられるようにする機能も新たなメリットを生み出しそうだ。事業者によってはカード会社と1つの決済契約だけでなく、複数の決済契約を結ぶケースがあり、それに対応するための機能。通常、クレジットカードの決済で事業者がカード会社に支払う手数料は決済金額の5%程度(カード会社や条件によって異なる)といわれ、数万円程度のカード決済であれば数千円で済むが、これが数百万円規模の決済となると数十万円ほどの手数料がカード会社に取られることになり、金額的に見過ごせないレベルとなる。そこで決済内容ごとに複数の決済契約を用意し、手数料率を調整しているというわけだ。

 例えばホテルのケースでいえば、通常の宿泊であれば1泊数万円程度だが、前出の結婚披露宴などでは一気に数百万円単位の決済となる。そこで披露宴パッケージ用に別の決済契約をカード会社と結ぶことで、手数料の差引額を減らしているという。

 同社によれば、もともとは複数の保険会社の契約を取り扱う保険契約の代理店が、保険会社ごとに異なる決済端末を用いていたという話を聞いたことが「複数契約の単一端末での決済機能」を開発する発端になったという。その後、カーディーラーやホテルなど、別の業種でも似たような事例が多数あることを知り、セールスポイントとして打ち出した経緯がある。

 実装においても何点かの工夫が図られており、例えば通常の決済端末であればカード会社から「加盟店ID」が振られてくるだけの決済契約が、ペイメント・マイスターでは好きな名称をつけて簡単に区別できるようになっている。従来であれば「〜決済用」といったシールを貼って区別していたものを、電子的に処理したと思えばいい。

 また決済タイミングで顧客番号などのユニークIDを付与することができ、これはクラウド側に決済データが保存された後、データベースとして引き出して自由に加工したり、バックエンドで社内システムと連携して顧客名簿との照合や販促ツールに使ったりと、さまざまな応用が可能だ。これは従来型の決済ターミナルにはない機能だといえる。

Photo カード決済契約ごとに異なる決済端末を1つに集約できる機能は、ペイメントマスターv3.1で新たに追加された。これまで決済用途ごとに複数台あった決済端末をiPhoneまたはiPad 1台で済ませられる

 片山氏はこのほかプリンタに対するこだわりについても説明している。米国のApple Retail Storeなどで買い物をしたことがある人は分かるかもしれないが、買い物をしてもレシートが電子メールで送られてくるのが一般的で、海外では必ずしも紙のレシートが必須のものではない。一定金額以上で発生するサインもiPhone端末上で行うため、紙を出力する必要がないのだ。日本でも法的に必須ではないものの、商店主からは紙のレシートを求める声が多く、そのニーズに対応するために探し出したのがBlue Bambooのモバイルプリンタだったという。

 プリンタはBluetoothでiPhone/iPadと接続され、印字出力を行う。iPadの場合は、専用ジャケットが用意されるiPhoneとは異なりカードを読み取るためのリーダーがないため、プリンタ側にカード読み取りが可能な専用リーダーがついており、この読み取り情報をiPadがクラウド側の決済サーバまで暗号化データとしてバイパスし、決済を行っている(iPhone/iPadともに端末には直接カード情報が入らず、セキュリティを確保している)。プリンタもまた日本独自のニーズの1つであり、前出のNFCや銀聯カードサポートを含め、今後の新製品の中で継続的にカバーしていく考えだ。

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