取水量を増やして出力アップ、北陸電力が年間600万kWh電力供給サービス

北陸電力は、水力発電所に供給する水の量を増やすことで、発電量を増やすことに成功した。富山県の神通川第二発電所での試みである。

» 2013年05月29日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 神通川第二発電所の位置

 水力発電を増強する手法は実にさまざまだ。スマートジャパンでもこれまで水車の交換水路の増設河川維持流量の利用などの手法を紹介してきた。

 1954年に運転を開始した北陸電力の神通川第二発電所(富山市、図1、図2)では、神二ダムから取り入れて発電に利用する水の量を直接増やした*1)。これにより、出力が4万1000kWから3000kW増えて4万4000kWに達する。年間発電量に換算すると、600万kWhの増加だ。

*1) 水量について河川法第23条の規定により国土交通省へ変更申請した後、2013年5月27日に出力変更について電気事業法第9条の規定に基づいて経済産業省に届け出た。

図2 神二ダムと神通川第二発電所の外観。出典:北陸電力

 どこから水を得たのだろうか。最大取水量を増やした。従来は1秒当たり最大160m3を取水していたが、水量が増える豊水期には水が余っており、神二ダムから発電に使わずそのまま放水していた。これを使うことで、最大172m3に増えた。

 水車や発電機(図3)は最大160m3という水量を前提として設計されているため、まずは技術的な検討を重ね、現地で試験を実施。その結果、水路や水車、発電機の安全性を確認できたことで、今回の容量増加に至ったという。

 図3の左にある水車は立軸単輪単流渦巻カプラン水車、図3右の発電機は立軸三相交流同期発電機である。

図3 発電所の水車(左)と発電機。出典:北陸電力

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