4900基の防犯灯をLED化するのはなぜ、埼玉県東松山市LED照明

多数の防犯灯を2014年2月末までにLED化する事業を埼玉県東松山市が進める。LED化の目的は何だろうか。明るさ、コスト、寿命、どれだろうか。

» 2013年10月02日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 東松山市の位置

 企業や工場、家庭では白熱電球や蛍光灯をLED電球や直管形LEDに置き換える動きが進んでいる。省エネや電気料金節減などさまざまな目的にかなうからだ。

 埼玉県東松山市は約4900基の防犯灯(街路灯)を2014年2月末までに全てLED灯に置き換える(図1)。国の「地域の元気臨時交付金」を受け市の一般会計事業として進める。事業費は1億8250万円だ。

 これほどのコストをかけて東松山市は何を実現しようとしているのだろうか。

 東松山市では市が防犯灯を設置し、維持管理費(修繕料)と電気料金は自治会が負担している。特に電気料金の負担額が大きいため、電気料金の約2分の1を市が補助しており、補助額は1カ月1基当たり130〜240円だ。

 この金額だけを見ると、わずかな負担だと感じられるが、1年間の電気料と修繕料の合計は、自治会負担分が2243万円、市の負担分が1263万円にも上る。LED化の目的は主に自治会の負担を軽減することだ。LEDは同じ明るさでも消費電力が少ないため電気料は下がる。さらに、LED灯の耐用年数は従来の防犯灯の5倍以上あるため、器具の老朽化による修繕料の低減にも役立つ。

 現在設置されている防犯灯のうち最も多いのが80Wの水銀灯(約3800灯)だ。この他、20W蛍光灯が約1000灯、40Wナトリウム灯が約100灯ある。「これを明るさに応じて消費電力20Wと10WのLED灯に置き換える」(東松山市地域生活部地域活動支援課)。

図2 LED灯に置き換えることによる負担減

 すると、自治会が負担する電気料と修繕料の合計は460万円に下がる*1)。市の負担分も639万円に収まる。合計すると、従来の3506万円が1099万円にまで減るという計算だ(図2)。負担額がこれまでの3分の1以下に減る形だ。

 なお、同市は、東松山市エコタウンプロジェクトを立ち上げており、公共施設などにおける街路灯のLED化を進める「LED街路灯一括整備事業」を実施しようとしている。今回の施策はこの一環だという。

*1) LED灯に変更した後は維持管理も市が負担するため。

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