海底から集めるメタンハイドレートや希少金属、いつ手に入るのか自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2014年01月08日 17時20分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
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石油・天然ガス

 石油と天然ガスの開発については、図2のような工程表を示した。2013〜2018年度の期間、基礎試錐(試掘)と2種類の探査を進める。探査にはいずれも音波探査を利用する。毎年面積に換算して平均約6000km2の三次元探査を続け、2018年度までに約6.2万km2を調べる予定だ。商業化に至る計画は立てておらず、資源の有無を調査する段階にとどまっている。

図2 石油・天然ガスの探鉱・開発に向けた工程表 出典:経済産業省資源エネルギー庁

鉱物資源

 開発計画が対象とした鉱物資源は、「海底熱水鉱床」と「コバルトリッチクラスト」「その他のエネルギー・鉱物資源」である。

 海底熱水鉱床は、海底深部に浸透した海水がマグマなどの熱で高温になり、地殻中の金属元素などを溶かし込みながら海底で噴出し、海水で冷やされて沈殿したものだ。銅や鉛、亜鉛、金、銀などが確認されている*4)。国内では水深700〜1600mの海底で見つかっている。開発スケジュールは図3の通りだ。

*4) 三井物産戦略研究所のレポート「海洋権益と新たな資源開発の動向」(2010年12月)によれば、海底熱水鉱床の推定賦存量は7.5億トン、推定回収可能量は4.5億トンであり、金属量1.7億トンの地金価値は80兆円相当だという。同様にコバルトリッチクラストは24億トン、11億トン、2.2億トン、100兆円だとした。

図3 海底熱水鉱床の開発に向けた工程表 出典:経済産業省資源エネルギー庁

 コバルトリッチクラストとは、海底にそびえる山(海山)の斜面や頂部に見られる団塊状の岩だ。表面にコバルトや白金が含まれている。マンガン団塊と似ており、特にコバルトの含有量が高いものである。コバルトはリチウムイオン蓄電池の正極などに多用されており、比較的高価な金属。2013年7月には南鳥島沖の公海域で探査鉱区を取得しており、15年間をかけて調査し、採鉱・精錬技術を検討していく。

 その他のエネルギー・鉱物資源には、レアアース堆積物とマンガン団塊が含まれる。レアアース堆積物は水深5000〜6000mという探査が比較的難しい深海にある一種の「泥」だ。分布状況は分かっておらず、採取する技術も確立されていない。2013〜2015年度の期間、100km間隔のサンプリング調査を実施し、採泥・揚泥の基礎試験を室内実験で試みる。

 マンガン団塊は直径2〜15cmの塊だ。核となる少量の物質の周囲に大量の金属酸化物が沈殿したものだ。成分は約3割のマンガンの他、銅やニッケル、コバルトを含む。分布の中心は水深4000〜6000m。国際海底機構(ISA)との契約により、2016年6月までに商業化の可能性を見極めて今後の方針を決定する必要があるとした*5)

*5) マンガン団塊は1960年代から有用資源ではないかと考えられており、日本でも1975年度から調査を開始、1987年にはハワイ沖の公海域に鉱区を登録している。しかしながら、世界的に採鉱システムは確立できていない。

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