太陽光と水素に加えて風力も、関西国際空港で再生可能エネルギーが広がる自然エネルギー

再生可能エネルギーの導入を積極的に推進する関西国際空港が新たに風力発電を開始した。発電能力5kWの小型風車1基を導入して、年間の発電量や低周波音などの環境影響を評価する。将来は空港の中で風力と太陽光の電力からCO2フリーの水素を製造することも検討中だ。

» 2014年09月03日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 関西国際空港で小型風力発電機を設置した場所は、空港内にある公園施設「KIXそらぱーく」の一角である。高さ15メートルのポールの上端に、発電能力が5kWの風力発電機を搭載して、9月1日に発電を開始した(図1)。

図1 関西国際空港で運用を開始した小型風力発電機。出典:新関西国際空港

 年間の発電量は9000kWhになる見込みで、一般家庭で2.5世帯分の電力使用量に相当する。平均風速を毎秒5メートルと想定して、設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)を風力発電の標準値である20%に設定した。発電した電力はKIXそらぱーくの街路灯の一部で利用する。

 関西国際空港は「環境先進空港」を目指して、空港内で使用するエネルギーをCO2フリーに転換する構想を進めている。2014年2月には滑走路の脇にある空き地にメガソーラーを完成させるなど、太陽光発電の規模も拡大中だ(図2)。空港の貨物施設の屋上にも太陽光パネルを設置して、年間に1200万kWh(約3300世帯分)の電力を太陽光発電で供給できる体制になっている。

図2 滑走路に沿って設置したメガソーラー。出典:新関西国際空港

 今のところ風力発電は小型機を使った試行段階にある。本格導入に向けて、実際の風速と発電量を測定しながら、風力発電で生じる低周波音などの影響を検証することにしている。太陽光発電に比べると導入のハードルは高いものの、空港は大阪湾に立地して風況が良いことから、風力発電が有力なエネルギー源になる期待は大きい。

 一方で関西国際空港は水素エネルギーの利用範囲を拡大する計画も推進中だ。2016年から燃料電池を搭載した自動車・バス・フォークリフトを大量に導入することを決めている。さらに空港内で太陽光や風力で発電した電力を使って、CO2フリーの水素を製造して「水素発電」を実施することも検討している(図3)。

図3 「水素発電システム」の構成。出典:新関西国際空港

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