全国の家庭に向けてスマートメーターの設置が始まり、電力使用量などのリアルタイムに得られるデータを活用した新しい情報サービスに期待が高まっている。既存の電力線を使ってスマートメーターと家庭内の機器のあいだでデータをやりとりすることも可能になる。
住友電気工業は家庭内のコンセントに挿し込むだけでスマートメーターとデータ通信できるアダプタを開発した(図1)。コンセントから電力線を通してスマートメーターと通信する「電力線通信(PLC:Power Line Communications)」に対応する。価格は未定だが、2015年3月までに出荷を開始する予定だ。
「PLCリピータ」と呼ぶアダプタを利用すると、スマートメーターと家庭内の機器のあいだでデータ通信が可能になる(図2)。電力会社が家庭に設置するスマートメーターでは電力線通信の標準規格である「G3-PLC」を実装することになっている。PLCリピータはパソコンなどの情報通信機器で広く使われているイーサネットをPLCと接続するための変換アダプタである。
スマートメーターの通信ネットワークには電力会社と接続する「Aルート」のほかに、家庭内の機器と接続する「Bルート」がある。東京電力をはじめ全国の電力会社は2016年4月の小売全面自由化までに、Bルートを利用したデータ提供サービスを開始する計画を立てている。最も早いのが東京電力で、2014年9月から一部のエリアでサービスを開始した後、2015年7月には全エリアに対象を拡大する予定だ。
東京電力のスマートメーターでは3種類の通信方式を実装する(図3)。その1つが電力線を使ったPLCで、残る2種類は無線通信である。住友電気工業はPLCリピータのオプションとして、920MHz帯の無線を利用したマルチホップ通信方式にも対応できるようにする。
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