世界の主要なインターネットサービス会社が使用する電力の“クリーン度”を国際環境NGOのグリーンピースが調査した。対象になった13社のうちアップルが最高の評価で、次いでヤフー、フェイスブック、グーグルが高い評価を受けた。一方で電力会社に依存している企業は評価が低い。
インターネット市場の拡大に伴って電力需要が急増していることを懸念して、グリーンピースが独自の手法で主要企業のデータセンターのエネルギー利用状況を調査・分析した。評価項目は使用する電力に占める“クリーンエネルギー”の比率と、再生可能エネルギーの導入意欲である。グリーンピースの定義では化石燃料のほかに原子力もクリーンエネルギーではない。
調査の対象になった13社の中ではアップルが最高の評価を受けた(図1)。世界各地のデータセンターで天然ガス・石炭・原子力による電力を使っていないことに加えて、エネルギーの使用状況の透明性など4分野の評価項目すべてで最高ランクの「A」を獲得した。
第2位のヤフーもデータセンターで使用する電力の75%をクリーンエネルギーに切り替えている。ただしエネルギー使用状況の透明性の点で評価が少し低くなった。第3位のフェイスブックと第4位のグーグルはクリーンエネルギーの比率ではヤフーを下回るものの、透明性など企業姿勢に対する評価が高かった。
一方で厳しい評価を受けたのがアマゾンである。推定では天然ガス・石炭・原子力の比率が7割を超えているうえに、再生可能エネルギーに対する投資意欲の低さも問われた。特にアマゾンが企業向けに事業を拡大しているクラウド方式のAWS(Amazon Web Services)の取り組みが不十分だとグリーンピースは指摘している。
とはいえアマゾン固有の問題ばかりではなくて、主力のデータセンターが立地するバージニア州の電力会社が再生可能エネルギーを2%しか供給していないことなども理由に挙げている。同様に企業向けのクラウドサービスを展開しているオラクルやセールスフォースも、事業の拡大に伴って再生可能エネルギーの導入量が十分に増えていないことから低い評価を受けた。
グリーンピースがインターネット関連企業の動向に注目するのは、データセンターとネットワークの電力需要が急速に増えているからだ。コンピュータなどの機器を含めて情報通信分野の電力需要が年々増加している中でも、データセンターとネットワークの比率が上昇を続けていて、2017年には両方を合わせて5割に達するとの予測が出ている(図2)。
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