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» 2015年06月30日 09時00分 公開

水際で生きる太陽光と小水力発電、バイオマスから水素も作るエネルギー列島2015年版(11)埼玉(2/2 ページ)

[石田雅也,スマートジャパン]
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生ゴミから電力、さらに水素を燃料電池車へ

 水道設備では小水力発電を実施できる場所も多い。さいたま市は市内に13カ所ある配水場で小水力発電を拡大中だ。すでに5カ所で発電を開始して、年間の発電量は合計250万kWhに達している(図5)。一般家庭で700世帯分に相当する。

図5 配水場を利用した小水力発電所(画像をクリックすると拡大)。出典:さいたま市水道局

 配水場は水源の浄水場から水を受けて、各地域に配分するための施設である。2014年3月から小水力発電を実施している「尾間木(おまき)配水場」を例に挙げると、同じ市内にある浄水場から毎秒0.5立方メートルの水が送られてくる。配水場の中では池に水をためてからポンプで送り出す仕組みになっている(図6)。

図6 「尾間木発電所」の小水力発電の仕組み(上)、発電設備(下)。出典:さいたま市水道局

 従来の流入ルートに加えて発電用の流入ルートを設けて、水車発電機に水を取り込めるようにした。発電に利用できる水流の落差は浄水場との高低差による約20メートルである。発電能力は64kW(キロワット)になり、一般家庭で130世帯分の電力を作り出すことができる。

 市内には小水力発電を実施していない配水場が8カ所残っていて、今後も導入場所を拡大していく方針だ。さいたま市以外の自治体にも、配水場や浄水場で小水力発電を実施する取り組みが広がり始めている。人口の多い大都市圏では、水道設備を利用した小水力発電は再生可能エネルギーの有効な導入方法である。

 埼玉県内で固定価格買取制度の認定を受けた発電設備の規模を見ると、太陽光に加えて中小水力やバイオマスが増えてきた。中小水力は全国で第10位の規模になっている(図7)。バイオマスでも都市部ならではの廃棄物を利用した導入事例が目を引く。

図7 固定価格買取制度の認定設備(2014年12月末時点)

 中でも注目を集めるのが、バイオマス発電の電力を使って水素を製造するプロジェクトだ。さいたま市の「東部環境センター」では、家庭から収集した生ごみなどの廃棄物を利用して発電する。焼却時の排熱を使って蒸気を発生させて、最大1.7MWの電力を作ることができる。自家発電した電力は構内で消費するほかに、水素の製造にも生かす。

 自動車メーカーのホンダが開発した「スマート水素ステーション」を2014年9月に導入した(図8)。水を電気分解して水素を製造する。製造できる水素は1日あたり1.5キログラムになり、燃料電池車に供給すると150キロメートル以上の走行が可能になる。さいたま市ではホンダの燃料電池車を公用車に使っていて、市みずからがエネルギーの地産地消に取り組んでいく。

図8 「東部環境センター」に設置した水素ステーション(上)、水素を製造・供給する流れ(下)。出典:さいたま市環境局

*電子ブックレット「エネルギー列島2015年版 −関東・甲信越 Part2−」をダウンロード

2016年版(11)埼玉:「水上式と追尾式で太陽光発電の効率アップ、下水からCO2フリーの水素も」

2014年版(11)埼玉:「大きな池に降り注ぐ太陽光、水が豊かな低地で相乗効果」

2013年版(11)埼玉:「狭い首都圏で太陽光発電を増やす、池の上にもメガソーラーを建設」

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