NEDOは、発電時に発生する二酸化炭素をほぼ全量回収し最先端の石炭火力発電所と同水準の42%の発電効率を達成する次世代型石炭ガス化複合発電システムの開発を開始する。2035年に商用化を実現する計画。
世界的に地球温暖化への対策が求められている中、電力会社にもCO2の排出削減を求める動きが高まっている。電力事業者は2030年度までに電力から生じるCO2排出量を2013年度比で35%削減する必要があり、注目されているのが、火力発電設備におけるCO2炭素排出の削減である(関連記事)(図1)。
特に、石炭火力発電設備は、石炭そのものが低価格かつ安定供給性に優れたエネルギー源である一方、他のエネルギー源と比べて二酸化炭素(CO2)の排出量が多いため、火力発電設備におけるCO2排出抑制は必須となる。そのためには石炭火力発電の高効率化とともに、CO2を回収・貯留するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)技術により低炭素化を図っていくことが必要だ(関連記事)。しかし、現在のCCSには多大な付加的エネルギーが必要となり、効率の低下や発電コストの上昇を招くため、発電効率とCO2回収、さらに低コスト化をいかにバランスよく実現するかということがポイントになっている。
これらの背景から、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、2008〜2014年度にかけて「CO2回収型次世代IGCC(石炭ガス化複合発電)技術開発」を推進。CO2の回収を行っても、最先端の石炭火力発電プラントと同等の発電効率が実現可能なIGCCシステムの基盤となる技術開発を行ってきた(関連記事)(図2)。
今回新たに開発に着手するのは、これらの基盤技術を基に、発電時に発生するCO2をほぼ全量回収しながら、最先端の石炭火力発電と同等な発電効率42%を達成できる次世代のIGCCシステムの開発を実施する。
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