業界団体の日本風力発電協会が2013年に策定した中長期のロードマップでは、2030年までに着床式で330万kW、浮体式で430万kW、合わせて760万kWの洋上風力発電を導入する目標を掲げている(図12)。さらに2050年には2500万kWに拡大して、陸上風力発電と同等の規模になる。
一方で政府が先ごろ策定した2030年のエネルギーミックス(電源構成)の目標値を見ると、洋上風力は82万kWにとどまる(図13)。ロードマップに対して1割程度に過ぎない。エネルギーミックスでは風力を含めて再生可能エネルギーの導入量を低めに見積もっていることもあるが、洋上風力に対する国の姿勢は微妙だ。
日本の近海に洋上風力発電所を拡大するためには、建設コストのほかにも漁業や動植物の保護、船舶の往来に対する影響など、解決すべき課題は多い。実際のところ静岡県の御前崎港で進んでいたプロジェクトは航空自衛隊の警戒監視レーダーに影響を与えることが判明したために見送りになった。
中国をはじめ世界の主要国では太陽光よりも風力発電の導入量が上回っている。特に洋上風力発電が盛んなイギリスでは2014年末の時点で洋上の導入量が450万kWに達した(図14)。日本政府が2030年に見込んでいる導入量の5倍以上に相当する。
イギリスの近海は遠浅の海域が広くて設置環境に恵まれているが、日本と同じような条件のオランダでも洋上風力の導入量は25万kWにのぼる。日本の近海でも環境保全を優先したうえで洋上風力を拡大できる余地は大きい。
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風力発電は全世界で太陽光発電の2倍、途上国にも急速に広がるCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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