料金が1割安くなれば16%の家庭が新電力へ、移行額は8900億円:電力供給サービス(2/2 ページ)
NRIでは今回の調査に基づき、都道府県ごとの乗り換え率についても推定を行った。調査の前提条件は、新電力会社に切り替えた場合、既存の電力会社の料金プランより5%安くなるというものだ。この場合、新電力会社への乗り換え率が最も高い都道府県は東京都の3.8%となった。一方で、最も乗り換え率が低いのは岩手県の2.6%だ。
同様の調査を値引き率10%で推定した場合、都道府県別の乗り換え率の差が、値引き率5%の場合に比べて相対的に小さいものとなった。値引き率5%で推定した際に最も乗り換え率が高かった東京都は、10%の場合では16.9%にまで上昇している。最も数値が低かった岩手県でも、乗り換え率が2.6%から15.1%にまで高まっている(図1)。
図1 都道府県別、値引き率別にみた、新電力への乗り換えが生じる電気料金と乗り換え率 出典:野村総合研究所
さらに都道府県ごと新電力会社への乗り換え金額の推計を見ると、こちらも東京都が最も高い。その他の地域を見ても、人口が密集している地域の乗り換え金額が高くなっている(図2)。
図2 都道府県別の新電力会社への乗り換え金額(料金値引き率別、単位:億円/年) 出典:野村総合研究所
なお今回の調査は、NRIが独自に開発したエリアデータ分析ツール「Market Translator (マーケット・トランスレーター)」用いて、本年2015年8月に実施した生活者向けアンケート結果や各種統計データを分析したもの。全国・町丁目単位で一般家庭において新電力会社へ乗り換えが見込まれる電気料金を、2016年度について推計した。サンプル数は約11万としている。
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