長野県の節電・省エネ活動、地道な取り組みでピーク電力量を大幅削減:スマートシティ(2/2 ページ)
長野県ではこの活動を始めた2011年以降、最大電力の抑制が進んでおり、節電・省エネの定着が進んでいることがうかがえる(図2)。
図2 長野県における夏季の最大電力推移 出典:長野県
また、今夏の最大電力発生日における電力の使用状況をみると、ピーク時間帯を中心に、1日をとおして2010年夏の最大電力発生日を下回っている(図3)。
図3 中部電力管内最大電力 出典:長野県
今夏の気象は6〜8月の3カ月間の平均気温は平年並みだったものの、7月中旬〜8月上旬の1カ月間は、記録的な暑さとなった。この1カ月間は太平洋高気圧に覆われて晴れる日が多く、日中の気温が上昇し、特に諏訪の日最高気温の平均は、31.1度となり、比較可能なデータがある1976年以降では、4番目の高さだった。8月中旬以降は、前線や低気圧の影響で曇りや雨の日が多くっている。なお、2013年および2014年度は、暑さが厳しく、中部電力管内全体は、気候の影響を大きく受けていることがうかがえる(図4)。
図4 夏の最大電力発生日における一日の電力推移(中部電力 長野支店管内) 出典:長野県
- 4年連続で夏の最大電力を減らす、長野県が2011年度比で12.9%削減
夏と冬に県を挙げて節電に取り組んでいる長野県が、2014年度の夏は最大電力を12.9%も削減した。2011年度から4年連続で最大電力が低くなり、県全体で節電効果が高まっている。月間の販売電力量も6月から9月を通して減少傾向を続けていて、引き続き今冬も県全体で節電に取り組む。
- 止まらない小水力発電の勢い、2020年にエネルギー自給率77%へ
小水力発電の導入量で全国トップの長野県はエネルギー自給率が極めて高い。2010年度で50%を超えていて、さらに2020年度には77%へ引き上げる計画だ。小水力発電を着実に増やすのと並行して、太陽光発電を大幅に伸ばしていく。大規模なメガソーラーの建設も始まろうとしている。
- エネルギー自給率が66%を突破、節電と発電を推進する長野県
2017年度にエネルギー自給率70%を目標に掲げる長野県だが、すでに2012年度末に66%を超えていた。節電による最大電力の抑制と再生可能エネルギーによる発電量の拡大が計画を上回って進んでいる。太陽光発電を中心に小水力・バイオマス・廃棄物発電の導入が広がる。
- 節電した電力を売れる、「ネガワット取引」が小売自由化で活発に
小売全面自由化が始まると、事業者間で電力の売買が活発になっていく。発電した電力だけではなくて、節電した電力の取引も可能になる。「ネガワット取引」と呼ばれるもので、需要が増加する時間帯に使用量の削減分を売ることができる。2020年には卸電力市場でもネガワット取引が始まる。
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