2017年度にエネルギー自給率70%を目標に掲げる長野県だが、すでに2012年度末に66%を超えていた。節電による最大電力の抑制と再生可能エネルギーによる発電量の拡大が計画を上回って進んでいる。太陽光発電を中心に小水力・バイオマス・廃棄物発電の導入が広がる。
長野県は2013〜2017年度の5カ年計画で「しあわせ信州創造プラン」を推進中だ。9つある重点施策の1つが「環境・エネルギー自立地域創造プロジェクト」で、2017年度までにエネルギー自給率を70%まで高めることを目標に掲げている。震災前の2010年度に58.6%だった自給率を2013年度に63.5%まで引き上げる計画だったが、その前年の2012年度末で66.4%に達したことが県の集計で明らかになった(図1)。
長野県が目標に設定したエネルギー自給率は、1年間の電力需要の最大値に対して、県内の再生可能エネルギーによる発電設備の総容量の割合で表す(図2)。自給率が100%になると、理論上は県内の電力需要を再生可能エネルギーだけでまかなうことができる。
自給率を高めるためには、夏の昼間の電力需要を抑制しながら、再生可能エネルギーの導入量を増やしていく必要がある。長野県では「信州省エネ大作戦」を夏と冬に実施して県内の節電対策を推進している。2012年度には最大電力需要が2010年度と比べて7%下がり、さらに2013年度以降も低下が見込まれる。
一方で再生可能エネルギーの導入量は2年間で約9万kW増加した。長野県は以前から水力発電が盛んで、旧来型の水力発電で163万kWの発電能力(設備容量)がある。新たに太陽光発電を中心に導入量が増えて、水力発電を除く再生可能エネルギーが2012年度末までに約20万kWの規模へ拡大した(図3)。
2012年7月に始まった固定価格買取制度によって、2013年度の再生可能エネルギーの導入量が増えることは確実だ。資源エネルギー庁による最新の集計では、2014年1月末の時点で買取制度の認定を受けて運転を開始した長野県の発電設備は22万kWに達している。2013年度分で20万kW程度になる見通しで、自給率は70%を超える。2017年度の目標を4年も前倒しで達成する。
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