東京電力がガス会社と3社目の提携、セット販売で攻めと守り:電力供給サービス(2/2 ページ)
市場規模が大きい関東では電力の小売全面自由化に向けて有力企業が続々と参入している。中でも関東一円に1万件以上の顧客を抱える東京ガスが電力事業の拡大に積極的で、東京電力にとっては最大の競争相手になる。すでに東京ガスは電力と都市ガスのセット料金プランを発表して1月4日から営業活動に入る構えだ。
一方で都市ガスの小売全面自由化は1年後の2017年4月に始まる。それまでのあいだ東京電力はLPガス会社と組んで、東京ガスや新規参入事業者の攻勢に対抗していく。さらに関東以外のガス会社とも提携関係を拡大して、電力とガスを組み合わせたエネルギー販売事業を全国に展開する計画だ(図3)。
図3 東京電力の小売事業展開イメージ。出典:東京電力
LPガスを使っていない家庭に対しては、東京電力はソフトバンクをはじめ電話会社やケーブルテレビ会社との提携を通じて電力と通信サービスのセット割引を訴求する。割引プランに加えてポイントサービスを充実させるための準備も進めている(図4)。各分野の有力企業と提携して競争力を高めながら、関東では既存顧客の維持、他の地域では新規顧客の獲得を図る戦略である。
図4 ポイントサービスの提携スキーム。出典:東京電力
- 東京電力が中部に進出、ガス・水・通信とセット販売へ
東京電力は中部と関東を拠点に250万件を超える顧客基盤を持つTOKAIグループと業務提携契約を結んだ。10月中に中部電力のエリアで法人を対象に電力とガスのセット販売を開始して、2016年4月には中部・関東の両エリアで家庭向けに水の宅配や通信サービスも加えたセット商品を販売する。
- 電力とガスの自由化へ攻める東京ガス、4番目のLNG基地を試運転
東京ガスは茨城県の日立港にLNG基地を建設中で、11月9日に試運転を開始する。既設のLNG基地は3カ所すべて東京湾岸にある。電力とガスの自由化に向けて北関東エリアの供給力を増強するのと同時に、災害時のバックアップ体制を強化する狙いだ。2016年3月までに営業運転に入る。
- ソフトバンクの2600店で4月から電力を販売、携帯電話とセット割引
東京電力とソフトバンクは2016年4月から共同販売を開始することで合意した。全国2600店のソフトバンクショップや東京電力のウェブサービスを販売チャネルに利用して、電力と携帯電話を組み合わせた共同商品を提供する。割安なセット価格やポイントサービスで顧客を引きつける。
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