管内2000万世帯は草刈り場か、東電が売りたい電力以外の価値電力供給サービス(3/3 ページ)

» 2016年01月08日 11時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]
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ポイントは「新規分野」をどう伸ばすか

 最大市場を独占してきた東京電力の現状を見ると、「既存エリアの電力事業」を考えた場合、競合からの切り崩しの影響をゼロに抑えることは難しい。また、新料金プランなどを考えても、ポイント割引やセット割なども原資と考えた場合、基本的には収入は減少する傾向にあるといえる。

 そのため、企業としての維持・成長を考えた場合、既存エリア・既存分野以外をどう伸ばすかが最大のポイントとなっている。この中で新規エリアについては、仮に20万件を獲得したとしても、関東圏の2000万世帯の中での切り崩しの影響を考えると、成長の原動力とするのは難しいと考えられる。

 そう考えると、成長のカギを握るのは「新規分野」ということがいえる。小早川氏は「新規分野で最も意識しているのはガスだ。ガスの小売自由化については制度設計がまだ確定していない部分もあるが、参入できるようになり次第、ガスの直接販売を開始する。燃料調達で見た場合、当社は東京ガスの2倍の調達力を持っており、ガスについても最終的な価格競争力を発揮することは可能だと考えている」と述べる。

 既存市場の切り崩しについても「総合エネルギーサービス企業として、ガスや電力も組み合わせた提案を進めることで、提供するのは電力になるのかガスになるのかは分からないが、現状の約2500億kWhというトータルのエネルギー量というのは維持できるようにしていきたい(図2)。契約口数についても、現在顧客として接点を持てているので、電力やガスに加えて、IoTなども含めた新サービスで、何らかのつながりを維持できるようにしていく」と小早川氏は述べている。これらの新たなサービスをどれだけ伸ばせるのかが、東京電力の今後のカギを握ると見られる。

photo 図2 東京電力の販売電力量(クリックで拡大)出典:東京電力
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