風力発電事業者による新規案件の開発も進んでいる。2015年末時点で、環境アセスメントの手続き中案件の累計量は、北海道と東北地方を中心に約764万kWまで積み上がっているという(図4)。
これらの新規案件が全て順調に完成していけば、2020年代初頭には1000万kWを突破することが予想されている。しかし、そのブレーキになりそうなのが、系統接続の制限の動きだ。
風力や太陽光などの変動の大きな再生エネルギーは、同時同量の原則を満たすのが難しく、接続量を増やすと電力システムそのものが大きな被害を受ける可能性を秘めている。そのため、現状では火力発電などを使って再生可能エネルギーの変動分を吸収する仕組みを作っているが、北海道電力や九州電力、東北電力などでは、そのバッファの確保に苦しんでいる状況だ。そのため、風力発電も急速に導入が拡大すれば、接続を制限する動きが広がると見られている。「系統への接続を巡る状況は厳しさを増しており、系統の広域運用の実現など接続可能量の拡大につながる施策の実現が、風力発電導入拡大のための喫緊の課題となっている」と同協会は述べている(図5)。
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