健康を意識すると電気料金が割引に、バイオマス電源も活用する老舗新電力電気料金の新プラン検証シリーズ(24)(1/2 ページ)

国内で3番目に古い上場新電力のイーレックスは2016年4月の電力小売全面自由化で、家庭向けなどの低圧電力市場に参入する。シンプルな料金プランと自社所有のバイオマス発電設備の活用、契約者への“健康”をテーマにしたユニークなサービス提供などを軸に、全国6地域で小売電力の販売を展開していく。

» 2016年03月02日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

連載:「電気料金の新プラン検証シリーズ」

 イーレックスは2016年4月から始まる電力の小売全面自由化に向けた低圧向け電気料金プランを発表した。高圧電力の供給事業と電力買取事業に加え、バイオマス発電所の建設といった自社電源開発も推進している同社だが、2016年4月から低圧市場にも参入する。

 低圧電力の販売は子会社のイーレックス・スパーク・マーケティング(以下、ESM)を通じて行う。同社はイーレックスと、自由化で先行する米国の電力事業者Spark Energy社が共同設立した合弁会社だ。ESMは2015年10月に小売電気事業者登録を済ませており、2016年4月からの小売全面自由化とともに東北、関東、中部、近畿、中国、九州の全国6地域で幅広くサービス展開を進めていく。

家庭向けはシンプルに安く

 ESMが提供する家庭向けの料金プラン、東京電力であれば従来電灯Bに相当(近畿・中国地域では現在の従量電灯Aに相当)するプランの料金体系は、現在の多くの電力会社のプランと同じく契約容量ごとの基本料金と3段階制の電力量料金で構成する。これは小規模な店舗や事務所向けの従来電灯Cに相当するプランも同様だ。

 関東エリア向けの料金プランを、現行の東京電力の従来電灯Bとを比べてみると、基本料金は数円の幅で安くなっている。料金に大きく影響するの電力量料金は東京電力より121〜300kWh(キロワット時)で1kWh当たり1.55円、301kWh以降で2.69円安く設定している。その他のエリアでも、このように既存の電力会社と類似の料金体系で、単価を数円程度安く設定するというシンプルなプランになっている(図1)。

図1 ESMが関東エリアで提供する従来電灯Bの料金体系(クリックで拡大)出典:ESM

 ESMの試算では東京電力の従来電灯Bで40A契約、毎月の使用電力量が365kWh、月額料金が1万円の家庭が乗り換えると年間5619円(約4.7%)安くなる。301kWh以降の料金単価の値下げ率が特に高いため、多くの電気を使用するほどお得になり、電気料金が月額2万円の家庭であれば年間で1万6458円(約6.8%)安くなるとしている。

 ESMの料金プランに乗り換えた場合、電気料金が最もお得になるのは近畿エリアだ。関西電力の従来電灯Aより、月額料金が1万円の家庭の場合約4.9%、同2万円の場合は約9.5%安くなる見込みである。なおこれらのESMの各料金プランに契約期間は設けておらず、解約に関する違約金などは発生しない。

図2 ESMの家庭向け料金プランに乗り換えた場合の、各エリアにおける電気料金の削減額見込み(クリックで拡大) 出典:ESM
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