横浜に新たなスマートシティが2018年に誕生、街全体で電力を融通スマートシティ(2/3 ページ)

» 2016年03月29日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

エリア全体に「電気+ガス」でエネルギーを一括供給

 綱島SSTの心臓部となるのがスマートタウンマネジメント施設だ(図4)。敷地面積は約3500平方メートルで、このエリアに綱島SSTで利用するほぼ全てのエネルギーの供給拠点となる「タウンエネルギーセンター」を建設する。同センターの管理事業者は東京ガスが担う。

 タウンエネルギーセンターには受変電設備、ターボ冷凍機、ガスコージェネレーションシステム(CGS)、CGSから発生する廃熱水を利用した空調を行えるジェネリンク、温水ボイラを設置する(図5)。系統から得る特別高圧電力と都市ガスの2つをエネルギー源として活用し、綱島SST内の施設に対して電力、温水、冷水を供給していく。さらに街全体の電力需要を見える化し、エネルギーを最適に融通していくことで省エネな街を実現していく。

図5 タウンエネルギーセンターの概要(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 綱島SSTでは電気とガスの他、水素の活用も推進する。スマートタウンマネジメント施設の一角にJXエネルギーが水素ステーションを設置し、さらに情報発信拠点として水素の特性などを紹介するショールームも併設する計画だ。

 この他にも主に2つの施設を設置する。1つが電動自転車のシェアリングサービスなど綱島SST全体に提供するさまざまなサービスのマネジメント、コミュニティイベント情報の発信など、街の管理拠点となる「タウンマネジメントセンター」だ。もう1つの施設が綱島地区に近い日吉地区にキャンパスを置く慶應義塾大学の国際学生寮の設置である。

スマートな集合住宅と商業施設を開設

 綱島SSTを区分けする4つのエリアのうち、最も面積が広い約1万8300平方メートルの土地には、総合スーパー事業を展開するユニーが新店舗として「アピタ横浜綱島店(仮称)」を開設する。オープンは街開きより一足早く、2017年秋となる予定だ。約3600平方メートルの土地には野村不動産、MIDI 都市開発が集合住宅を建設する(図6)。

図6 「アピタ横浜綱島店(仮称)」と建設する集合住宅の完成イメージ 出典:パナソニック

 これらの商業施設、集合住宅および綱島SST内に設置される施設/設備は、パナソニックの持つさまざまな技術を活用して“スマート化”を図る計画だ。例えばエネルギー分野では太陽光発電システムやエネファーム、セキュリティ分野では監視カメラなどを活用した見守りシステムを導入する。パナソニックの技術見本市ともいえるスマートシティだ。

 なお、残る最後の1つの施設であるAppleの技術開発拠点についても、同社の米国本社などと同様に再生可能エネルギーによる発電システムや屋上緑化、水の再利用システムの導入を行い、環境負荷の低い施設とする計画だ。

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