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» 2016年05月20日 07時00分 公開

原油安に潜む大型リスク、日本のエネルギー安全保障に危機感エネルギー管理(2/3 ページ)

[陰山遼将,スマートジャパン]

1.落ち込む石油・ガス開発投資へのテコ入れ

 1つ目が、石油・天然ガス開発に対する継続的な投資だ。世界の石油・ガス開発投資は原油安局面に入った2014年以降減少が続いている。2014年の投資額は80兆円だったが、2015年は約2割減の65兆円に縮小した。

 仮に2016年も減少が続き、2年連続で投資額が縮小することになれば、これは1980年代以降初のことである。エネルギー白書ではこうした上流開発に対する投資の停滞が、将来の急激なエネルギー価格上昇につながる可能性を指摘する。

 世界の傾向と同様に日本の資源開発企業による投資額も減少している。2014年の2.1兆円から2015年は1.9兆円に縮小しており、2016年はさらに落ち込んで1.2兆円となる見込みだ(図3)。日本の資源開発企業各社の利益は落ち込んでおり、こうした状況が投資額の縮小に大きく影響している。

図3 原油安を受け世界・日本ともに石油・ガス開発への投資額は減少している 出典:平成27年度 エネルギー白書

 エネルギー白書ではこうした状況に対し、G7などの場を通じて他国政府と協調した資源開発投資の推進、海外の資源開発企業と比較して財務基盤が弱い日本企業に対しては、公的資金によるリスクマネー供給で投資を促し、同時に資金や人材面で海外企業と比肩する中核企業を形成していく必要もあると訴えている。

 日本の現在の国産を含む2015年の石油・天然ガスの自主開発比率は、計測開始以降で最高となる24.7%を記録した。政府では2030年までに40%以上に引き上げる目標を掲げており、エネルギー白書でも今後さらに自主開発比率を高め、エネルギー安全保障の強化が必要になると強調している。

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