下水で走る燃料電池トラック、福岡市の繁華街で貨物を輸送:自然エネルギー(2/2 ページ)
実証事業では、既存のディーゼルトラック(2トン)を改造し、高圧水素タンク(70メガパスカル)、燃料電池、駆動用モーターなどの燃料電池システムを搭載し、燃料電池車(FCV)化する。バッテリーのみで走行する電気トラックは充電時間が長く航続距離が短いという欠点があるが、燃料電池トラックは水素の充てん時間が短く航続距離も長いことから実用性が高いと考えられている。実証実験では、実際に貨物輸送を行い、その実現性を検証する。
技術開発した燃料電池トラックは福岡市随一の商業地区である天神地区で貨物輸送実証を行う。実証するのは天神地区での共同貨物輸送実証を実施している天神地区共同輸送が担う。同社は天神地区において複数の運送会社が取り扱う貨物を共同集配することにより都心部に乗り入れる車両数を低減するなど、都市環境の改善に貢献してきた。今回、さらに燃料電池トラックを使用することで貨物輸送に伴う環境負荷をさらに低減する方針だ(図3)。
図3 天神地区の共同貨物輸送で使用されている「イエローバード」。燃料電池トラックに改造したものを実証で利用する 出典:福岡市役所
実証事業のスケジュールとしては、2016年度は燃料電池トラックの仕様検討と基本設計を行い、2017年度に詳細設計と車両製作を行う。そして2018年度から貨物輸送実証を開始する予定だとしている(図4)。
実証事業のスケジュール 出典:福岡市役所
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