託送料金はガス会社が導管の運営にかかる原価をもとに単価を設定する。東京ガスが申請にあたって試算した家庭向けの託送料金の水準は、現行のガス料金に対して40%前後である(図6)。これは電力会社が送配電ネットワークの使用料として小売電気事業者から徴収する託送料金の比率と同程度だ。
大阪ガスの託送料金も家庭用では40%程度を見込んでいる。ただし業務用では20%以下になる(図7)。この点も電力会社の託送料金と同様で、小口の需要家を対象にするほど託送料金の割合は高くなるが、その差は都市ガスのほうが電力よりも大きい。
実際に大阪ガスが申請した託送料金の単価を見ると、すでに自由化されている年間10万立方メートル以上の契約と比べて、家庭向け(年間3000立方メートル以下)は6倍以上に設定されている(図8)。電力の場合は家庭向けの低圧と企業向けの高圧の託送料金の単価の差は2倍程度に収まる。
電力の送配電ネットワークと都市ガスの導管ではコストの構造に違いがあるため、単純に比較することはできない。とはいえ電力会社をはじめ家庭向けのガス市場に参入する事業者からは不満の声が出そうだ。政府はガス会社からの申請に対して修正指示を出す見通しで、12月中に託送料金を認可する。
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電力・ガス・電話のメガ競争が始まり、電気料金は確実に安くなるCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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