2009年にEUでは、発電における再生可能エネルギーの割合を2020年までに20%に増やす法案がまとめられた。これを受け、ポルトガル政府によるアクションプランが作成された。日本と同様に国内に燃料資源を持たないポルトガルでは、ただでさえ財政が危機的状態にあるため、燃料の輸入コストは無視できない問題でもあった。このような背景から再生可能エネルギーにより積極的であったと考えられる。
このアクションプランの唱える2020年までに実現すべきエネルギーミックスは以下のようになっている。ちなみにポルトガルには原子力発電所がないということも強調したい点である。
MIBEL(The Iberian Electricity Market)はポルトガルとスペインという2カ国の電力システムを統合し、イベリア半島一帯を網羅する地域的な電力市場の設立を目的に作られた機関である。1998年から実現に向けての活動を開始。当初予定だった2003年発足からは遅れたものの、2007年から本格的にオペレーションが開始された。これによりポルトガルとスペインの電力市場は連結され、2国共通の電力卸市場作られ、イベリア半島の電気の取引はここに集約されることになった。
MIBELによる電力卸市場には、「OMIE」と「OMIP」の2つがあり、OMIEはスペイン企業である「OMEL」が管理。スポット取引が行われている。OMIPはポルトガル企業「OMIP SHPS」が管理し、先物取引が行われる。それぞれが、株式の半分づつを所有していることが特徴である。
MIBELの設立により、ポルトガルとスペインの電力市場は他国において存在感を増すことに成功した。EDPはスペインでも電力の販売を開始し、一方スペインの世界最大規模のエネルギー会社、イベルドローラは、ポルトガルにも販路を伸ばすことになった。ポルトガルのEDPにとっても、市場規模がポルトガルの6倍以上あるスペインに進出できたのは大きな意義があったといえる。
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