燃料電池では水素と酸素を反応させて電流を発生する電解質が必要になる。SOFC方式ではセラミックを電解質に使う。三菱日立パワーシステムズが開発した加圧型のシステムでは、円筒形の圧力容器の中に細長いセラミック管を束ねたカートリッジを並べて、圧力容器の中で高温・高圧の状態で水素と酸素を反応させる(図4)。
1本のセラミック管は全長が1.5メートルで、直径は2.8センチメートルと細長い。電解質になるセラミック管の表面に酸素を取り込む空気極、裏面には発電用の燃料極を重ねた積層構造になっている。このセラミック管の中に水素と一酸化炭素を送り込むと、外から取り込んだ酸素と反応して電流を生み出すことができる(図5)。
千住テクノステーションに新たに設置したシステムでは、2013年に稼働した200kW級の試作機と比べてセラミック管を長く細く改良した。発電能力の増強に加えて、設置面積を40%以上も削減できた。この改良型のシステムは2015年に九州大学の「次世代燃料電池産学連携研究センター」に試作機を導入して実証研究を続けている。
三菱日立パワーシステムズは2016年度に各地で実証運転に取り組みながら、2017年度の商用化を目指す。さらに発電能力を1300kW級に引き上げた中型のシステムを2018年度に投入する計画がある。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、競技場や選手村に燃料電池を導入する予定だ(図6)。オリンピック・パラリンピックを機に、全国各地のオフィスビルや工場に燃料電池が普及していく期待は大きい。
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