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» 2016年11月02日 09時00分 公開

自然エネルギー:巨大な太陽光発電所が相次いで着工、被災した農地をエネルギー供給基地に (2/2)

[石田雅也,スマートジャパン]
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県内のエネルギー自給率を2018年に30%へ

 続いて2016年9月には杉内地区でもメガソーラーの建設が始まった。発電事業者は特別目的会社の「富岡杉内ソーラー」である。環境省の「地域低炭素投資促進ファンド」を運営するグリーンファイナンス推進機構のほか、シャープや芙蓉総合リースなどが出資した(図5)。

図5 「富岡杉内ソーラー」の事業スキーム。SPC:特別目的会社。出典:グリーンファイナンス推進機構

 建設するメガソーラーの発電能力は25MWで、年間の発電量は2500万kWhを見込んでいる。一般家庭の6900世帯分に相当する電力になる。運転開始は2018年3月の予定だ。発電した電力は固定価格買取制度で売電して年間に約8億円の収入を得られる。この売電収入の一部も福島県再生可能エネルギー復興推進協議会に寄付する。

 3カ所目の高津戸地区のメガソーラーは市民の出資を得て建設する計画で、「福島富岡復興グリーンファンド」の募集を2016年10月末まで実施した(図6)。発電事業者は地域の住民が設立した「富岡復興ソーラー」が出資する特別目的会社の「さくらソーラー」である。発電能力は30MWを予定していて、近く工事に入る見通しだ。

図6 「福島富岡復興グリーンファンド」の仕組み。出典:自然エネルギー市民ファンド

 福島県内では再生可能エネルギーの導入を加速させるプロジェクトが数多く進んでいる。震災の被害が大きかった太平洋沿岸に新たな産業を創出する「イノベーション・コースト構想」では、太陽光発電をはじめ風力やバイオマス、水素エネルギーの導入プロジェクトを推進中だ(図7)。富岡町を中心とする一帯は重点地域の1つになっている。

図7 「イノベーション・コースト構想」のエネルギー関連プロジェクト(画像をクリックすると拡大)。青色の地域は「避難地域・再生可能エネルギー復興支援プロジェクト」の対象。出典:福島県企画調整部

 2013年度に開始した「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」では、「原子力に依存しない、安全・安心で持続的に発展可能な社会づくり」を掲げた。2040年に県内のエネルギー需要を100%再生可能エネルギーで供給することが目標だ(図8)。当面は震災前に20%程度だった比率を2018年に30%まで引き上げる。

図8 「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」の導入目標(上、需要と導入量は原油換算)、アクションプランによる導入量(下)。kl:キロリットル、MW:メガワット。出典:福島県企画調整部

 福島県の再生可能エネルギーで中核になるのは太陽光発電である。2018年には原子力発電所1基分に匹敵する836MW(83万6000キロワット)の電力を太陽光発電で生み出せる見通しだ。富岡町に新たに生まれるメガソーラーによって目標の達成に近づく。

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