官民連携による木質バイオマス事業のスキームは森林から間伐材を搬出するところから始まる。間伐材のうち製材に利用できない部分は森林の中に放置する場合が多い。これを「be材」と呼んで、みどり公社と森林組合が素材生産者を交えて「兵庫県be材等供給協議会」を設立した(図4)。
この協議会が森林からbe材を搬出して、発電所の隣で稼働した「be材供給センター」に納入する。センターでは2万トンの木材を貯蔵できるほか、1時間あたり30トンの木質チップを製造する能力を備えている(図5)。燃料になる木質チップを最大で600トンまで貯蔵可能だ。
発電所では年間に6万3000トンの木質チップを利用する。再生可能エネルギーを利用した発電を通じてCO2排出量を削減できるメリットがある。関西電力が供給する電力のCO2排出係数は2015年度の時点で0.496kg-CO2/kWh(CO2換算キログラム/キロワット時)だった。バイオマス発電で年間に3700万kWhの電力を供給すると、約1万8000トンのCO2排出量を削減できる。
兵庫県では2016年4月に「兵庫県バイオマス活用推進計画」を策定して、県内に豊富に存在するバイオマス資源の活用を加速させている。バイオマス資源の中でも活用できていない量が最も多いのは木質系だ(図6)。年間に約2万トン(炭素換算)が処分あるいは未利用の状態になっていて、特に朝来市が属する但馬地域で半分を占めている。
新たに木質バイオマス発電所が稼働したことで、但馬地域を中心に県内で大量に発生する未利用木材の活用が進んでいく。林業の収入が拡大するうえに、木材の搬出やチップの加工から発電所の運営までの業務で新規の雇用を創出できる。朝来市で始まった「兵庫モデル」を県と市が広めながら地域の活性化を図る。
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