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» 2016年12月13日 07時00分 公開

スマートホーム:エネルギー自給率100%、ZEHを超える「電力不安ゼロ」住宅 (2/3)

[陰山遼将,スマートジャパン]

新型蓄電池を開発

 100% Editionのシステム構成は一般的なZEHと同様に、創エネ・蓄エネ・省エネを担う3つのシステムが連携するかたちになる(図3)。住宅のエネルギー消費はもちろん地域や気候、入居人数などによって変化するため、それに伴い必要なシステム性能も異なってくる。以下で紹介する各機器の性能は、積水化学が既に販売した仙台市以南に位置する同社の鉄骨系住宅「スマートパワーステーション」290邸の電力消費量を分析し、そのうちの約55%が1年間エネルギー自給率100%で生活できると試算したモデルプランの数値である。

図3 「100% Edition」の概要(クリックで拡大)出典:積水化学工業

 創エネを担うのは太陽光発電システムだ。屋根部分に出力13.37kW(キロワット)の太陽光発電システムを搭載する。省エネに関しては、HEMS制御対応の全室空調システム、高効率給湯器、さらに複数のLow-Eガラスを組み合わせ断熱性能を高めた「トリプルガラス樹脂サッシ」を導入。これにより冷暖房のエネルギー消費を17%削減できるという。

 そしてエネルギー自給率100%を達成する上で、大きなカギを握るのが「蓄エネ」の機能だ。先述したように積水化学は290邸のスマートパワーステーションの消費電力を分析した。その中でエネルギー自給100%を達成するために「太陽光発電量を増やす」「断熱・省エネ性能を向上させる」といったシミュレーションを行ったが、その中で課題となったのが「冬場」と「夜間」だという。暖房などで電力需要が増す冬季は、スポット的に電力を購入しなくてはならない場合が多く、さらに太陽光発電が行えない夜間は、ほぼ毎日買電の必要があった。そのため、電力を貯蔵し、必要な時に利用できる蓄電池の導入がエネルギー自給率を高める上で非常に重要な役割を持つということが分かったという。

京セラと共同開発した新型蓄電池を導入

 そこで積水化学は京セラと共同で住宅用の新型蓄電池システムを開発した。積水化学のフィルム型のリチウムイオン電池に、京セラのハイブリッド型パワコンを組み合わせた室内向けのシステムとなっている。容量は住宅用蓄電池としては大型の12kWh(キロワット時)を持ちながら、小型にも注力した。蓄電池ユニットの外形寸法と重量は760×495×525mm(ミリメートル)175kg(キログラム)、パワコンは880×580×270mm、55kgだ。太陽光発電システムの電力を直流のまま充電でき、充電効率は96%(図4)。さらに20年間の長期容量保証も提供する。

図4 積水化学のフィルム型のリチウムイオン電池を採用した京セラの新型蓄電池(クリックで拡大)

 積水化学はこの新型蓄電池を100% Editionに採用する他、スマートハイムなどの新築住宅向けに単体でも販売し、年間販売目標は500台としている。京セラも2017年4月から販売を開始する予定だ。現時点での価格はオープンとなっている。なお、積水化学のフィルム型リチウムイオン電池が製品化されるのはこれが初。同社は同電池事業を戦略事業として位置付けており、今後は車載向けなどにも展開していく方針である。

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