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» 2017年08月07日 07時00分 公開

農業の新しいビジネスモデルに、ソーラーシェアリングのススメ自然エネルギー(3/3 ページ)

[横浜環境デザイン 顧問 馬上丈司,スマートジャパン]
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設備だけでなく仕組み作りも重要

 千葉県匝瑳市(そうさし)飯塚の開畑地区では、地元の農業者の方々が、地域農業の継続に向けた打開策としてソーラーシェアリングに積極的に取り組んでおり、多くの設備導入が実現している。

 匝瑳市一帯では、飛鳥時代の頃には稲作が行われていたと言われ、今も水田の作付面積が2790haに及ぶなど稲作が盛んである。ただ、飯塚の開畑地区はその名の通り山を切り開いた土地で、土壌が痩せていることから農業だけの収入では厳しく、耕作放棄地が年々増加してきた。

 最初は2014年に地元農業者の方が中心となってソーラーシェアリングの1号機を建てて以降、現在は10基以上の設備が導入されている。発電所のオーナーは複数の事業者だが、設備の下での耕作は新たに地元で設立された農業法人が担っているのが特徴である。2017年4月には、定格出力1MW(メガワット)のメガソーラーシェアリングも立ち上がった。

 まとまった規模でソーラーシェアリングを実施する場合、これをきっかけとして長期にわたって農業を安定的に行っていく仕組み作りも重要である。冒頭で耕作放棄地の問題や新規就農者の話などについて言及したが、担い手が減少していく中では農業生産者の法人化を進め、地域の農地を集約していくことが必要になってくると考えられる。匝瑳市の事例の場合も、地元の若手からベテランまで幅広い農業者の方々が集まって新たに農業法人を設立し、ソーラーシェアリングの設備下での営農を一手に引き受けている。

 ソーラーシェアリングは個人経営の農業者の方にとっても、農業法人にとっても自然エネルギー事業に取り組み新たな収入を得られる手段になる他、今後はハウス栽培などと組み合わせた自家消費型の仕組みも広がっていくだろう。また、これまで活用の方策が見いだされなかった、地域の耕作放棄地を再生していくにあたっての動機付けにもなり得る。

 地方創生が大きな政策課題として掲げられる中で、都市部から離れれば必ずと言って良いほど地域の主要産業は農業になってくる。ソーラーシェアリングが普及していくことは、単に農業の活性化というだけでなく、自然エネルギーと農業を結びつけ、農地をエネルギーと食料という社会に不可欠な資源の両方を生み出す場所に変えていくことになる。それは、エネルギー自給率と食料自給率の向上というわが国の抱える大きな問題を解決していく、大きな原動力にもなっていくだろう。

筆者プロフィール

馬上丈司(まがみ たけし)株式会社横浜環境デザイン 顧問

千葉大学法経学部卒業後、千葉大学大学院人文社会科学研究科にて地方自治体における再生可能エネルギーに関する研究を行い、日本初となる「公共学」の博士号を取得。専門はエネルギー政策論、環境マネジメントシステム論。現在4つの会社の代表として、全国で再生可能エネルギーの普及・事業化サポートをおこなっている。特にソーラーシェアリングには4年以上前から取組んでおり、千葉県や秋田県などで自治体とも連携した地方創生などと絡めた事業活動を展開している。


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