日本初の“電力会社に依存しない”ビル、太陽光100%で実証運用:太陽光(2/2 ページ)
こうしたビルの高い省エネ性能によって、大和ハウス佐賀ビルは太陽光発電による創エネのみで全体の電力需要を賄うことができるという。さらに、太陽光発電の発電量が消費電力を下回る際には、蓄電池に貯蔵した余剰電力を自動的に電力供給できるシステムを構築している。実証ではこのシステムの運用を検証し、“電力会社からの買電に依存しないオフィスビル”を目指す。なお、万が一太陽光発電システムと蓄電池で電力供給ができなくなった場合は、九州電力から電力の供給を受ける。
大和ハウスでは同社の環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」をもとづき、自社ビルを中心に環境負荷の低いZEBの実現を推進している。今後は、今回実証を行う大和ハウス佐賀ビルモデルケースとして、電力会社に依存しない自給自足型の新たな電力自立システムの普及を加速させていく方針だ。
ビルの消費エネルギーを太陽光発電の電力で賄う仕組み 出典:大和ハウス工業
- “太陽光発電だけの生活”は可能か、実証実験がスタート
外部からの電力やガスの供給を遮断し、再生可能エネルギーによる自家発電のみの生活が継続可能かを検証する実証実験がスタートする。ミサワホームグループと京セラが2015年10月から奈良県で行うもので、モデル住宅に太陽光発電と蓄電システムを設置して実際に生活をしてもらい、そのデータを分析する。
- CO2を排出しない生活は可能か、既存住宅で実証開始
大阪ガスと積水ハウスは既存住宅をリノベーションし、CO2排出量ゼロとゼロエネルギーの達成を目指す実証実験に着手する。実際に人が居住しながら約2年半に渡って行う実証で、太陽光発電システムや燃料電池、空調制御を活用し、省エネと快適性の両立が可能化どうかを検証していく。
- エネルギー自給率100%、ZEHを超える「電力不安ゼロ」住宅
積水化学工業はスマートホームの新製品として、エネルギーを100%自給自足できる住宅を2017年1月から発売すると発表した。太陽光発電システム、京セラと共同開発した新型蓄電池、V2Hシステム、電気自動車を組み合わせる住宅だ。停電などの電力不安や、電気料金変動の影響を受けない次世代住宅として、年間100棟の販売を目指す。
- キーワード解説「ゼロ・エネルギー・ビル/ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEB/ZEH)」
夏になると各電力会社は節電を呼びかける。特に国内のほとんどの原子力発電所が停止した今夏は、各地で消費者が厳しい節電を強いられている。「ゼロ・エネルギー・ビル/ゼロ・エネルギー・ハウス」は、年間に消費するエネルギー量がおおむねゼロになるという建物を指す。実現すれば、無理に節電する必要がなくなるかもしれない。
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