定置用蓄電池に日本発の国際規格、安全性の向上や再エネ普及に期待：蓄電・発電機器

[スマートジャパン]

　経済産業省と独立行政法人・製品評価技術基盤機構（NITE）は2020年5月7日、日本が提案した定置用大型蓄電システム（BESS）の安全性に関する国際規格「IEC 62933ｰ5ｰ2」が、同年4月16日付で国際電気標準会議から発行されたと発表した。

　正式名称は「IEC 62933-5-2 Electrical energy storage (EES) systems - Part 5-2: Safety requirements for grid-integrated EES systems - Electrochemical-based systems」。電気化学的技術を用いた化学蓄電池から構成される、電力システムに接続するBESSの安全要求項目を規定したものだ。システムの設計から運用期間終了時の管理までのライフサイクル全体に適用できる規格となっている。

今後の普及拡大が期待される定置用大型蓄電システム　出典:NITE

　これまで、国際的に統一されたBESSの安全基準は存在していなかったという。この安全規格の活用により国内外で安全性を評価する環境が整備され、出力変動対策として大型蓄電システムの普及および再生可能エネルギー利用の拡大への貢献期待される。また、国内で製造され、試験・評価された製品が、海外市場で受け入れられやすくなる効果も期待される。

　NITEは経済産業省の「グローバル認証基盤整備事業」の一環として、2016年に大型蓄電池システム試験評価施設（NLAB）を設置し、定置用大型蓄電システムの大型蓄電池製品の安全性等を評価してきた。さらにNLABにおける評価や試験ノウハウを生かし、より安全にシステムを普及させる環境を整備する観点から、定置用大型蓄電システムの安全要求事項をまとめた規格原案を策定し、2016年5月にIEC技術専門委員会において、日本の提案による規格開発プロジェクトを開始。そして今回の国際規格（IEC62933-5-2）の発行に至った。

　今後は、国際市場での規格活用を見越した認証基盤を構築し、BESSの安全設計に関する日本企業の国際競争力強化につなげていく方針だ。これに向けて、当該規格を国際対応規格とする日本産業規格（JIS）原案作成に取り組むとともに、NLABを活用した評価基盤の構築を国内試験・認証機関とともに推進していくとしている。