変換効率16.6%で長寿命のペロブスカイト太陽電池、沖縄科技大が開発太陽光

沖縄科学技術大学院大学(OIST)が高い変換効率と安定性を両立したペロブスカイト太陽電池モジュールを開発したと発表。変換効率16.6%の変換効率を達成し、2000時間の照射後でも初期性能の約86%を維持できたという。

» 2020年07月29日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)は2020年7月21日、高い変換効率と安定性を両立したペロブスカイト太陽電池モジュールを開発したと発表した。変換効率16.6%の変換効率を達成し、2000時間の照射後でも初期性能の約86%を維持できたという。研究成果は同日付で科学誌「Nature Energy」に掲載された。

 ペロブスカイト太陽電池は現在主流のシリコン系の太陽電池と比較し、高い変換効率と低い製造コストが期待できるため、次世代の太陽電池として注目されている。一方、普及に向けては、発電効率の向上と、大型化の両立が課題となっている。小面積セルにおいては結晶シリコンに匹敵する高効率が達成されているものの、均一な製膜の実現が難しく、大型化すると変換効率が大きく低下する点が課題となっている。

 今回OISTの研究グループでは、複数の層で構成されているペロブスカイト太陽電池について、1つの層だけに焦点を当てるのではなく、デバイスの全体的なパフォーマンスと、各層の相互作用について研究を行った。5cm四方、面積22.4m2の太陽電池モジュールを使用し、活性ペロブスカイト層と電子輸送層の間にEDTAKと呼ばれる化学物質の層を追加することで、性能が安定することを見出した。

開発したペロブスカイト太陽電池の構造イメージ 出典:OIST
開発したペロブスカイト太陽電池 出典:OIST

 この他にも、活性ペロブスカイト層と正孔輸送層の間にEAMAと呼ばれるペロブスカイト層を追加することで、正孔輸送層が正孔を受け取る能力が高まることがわかったという。また、モジュールに対し、ガラス層とともにポリマーのパリレン薄層を追加することで、2000時間の一定照射の後でも、初期性能の約86%を維持できる耐久性の獲得にも成功したという。

 研究グループでは今後、今回の成果を生かし、高効率かつより大型のペロブスカイト太陽電池の開発を目指すとしている。

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