もう一つの取り組みとして、次世代を担う若者たちへのフィールド提供を通じた農業・再生可能エネルギーへの理解を深めてもらうプロジェクトを続けています。自社農場としてスタートした初年度から、農業イベントなどを通じて広くソーラーシェアリングというものを体感してもらう機会を設けてきました。そういったスポットでの取り組みに加えて、昨今は学生団体などと連携して継続的な関わりを増やしていくことにも注力しています。
今年4月からは、NPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)の協力を得て、スタディーツアーとして所属する大学生が定期的に大木戸へ足を運び、ソーラーシェアリングとその下での農業や地域の実情を体験してもらうことで、持続可能な地域作りの課題を知り社会的なアクションを起こすきっかけ作りを提供しています。
ソーラーシェアリングは農業者の所得向上を図る取り組みとして政策がスタートしましたが、現在は気候変動対策における再生可能エネルギーの導入拡大や農業における脱炭素化への貢献、農業の電化をきっかけとした「AgTech(Agriculture Technology)」などの導入、地域内でのエネルギーの自給自足による災害対策など幅広い観点からその必要性が認知されてきました。しかし、こうしたフレームだけを作り続けても、実際に当事者となっていく次の世代を担う若者に認知・受容されなければ、何の意味もありません。
エネルギー政策や農業政策に限らず、残念ながらの日本では次世代への教育をおろそかにし続けたツケがもはや払いきれなくなっており、地域の将来を担う人材が各地で枯渇してしまいました。少子化問題が少母化問題に至ったことで、多くの地域にとって人口減少問題が解決不可能な領域に達し、今後10〜20年で団塊の世代が大きく減少していけば再起不能になる地域が頻出してくることはもう避けられません。その変化の時代を克服する地域を一つでも多く作るために、私たちの取り組みを通じて次世代に持続可能な社会というバトンをつないでいきたいと思います。
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