電力需給の状況は冬により一層厳しく、足下の状況と対策の見通しはエネルギー管理(1/5 ページ)

2022年6月に関東を中心に発生した電力需給の逼迫。今夏のみならず、冬もより一層厳しい状況になる見通しだ。この夏と冬の電力需給の見通し、そして対策の状況などをまとめた。

» 2022年07月06日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 2022年6月としては異例の暑さにより、国は6月26日(日曜)に翌日27日(月曜)に向けた初の「電力需給ひっ迫注意報」を発令した。注意報は30日18時に解除されるまで連続4日間発令されたほか、27日および28日には一般送配電事業者により、北海道・東北・東京エリアにおける「需給ひっ迫準備情報」が発表された。

 このような需給逼迫が発生した第一の理由は、電力需要の急増である。

図1.東京エリアにおける6月の最大需要電力 出所:電力・ガス基本政策小委員会

 東京エリアの6月27日(月)の最大需要電力は5,254万kW(13時台)であり、東日本大震災以降の6月の最大需要電力(4727万kW)より527万kW(11%)高く、昨年2021年度と比べると1102万kW(27%)も高い水準であった。

 需給逼迫のもう一つの理由は、「計画に基づく」供給力の不足である。

 従来から、7〜9月の高需要期に備え、相対的に需要の低い6月までに発電設備メンテナンス(補修)が計画的に実施されており、6月はまだ多くの火力発電所が補修停止中であった(6月は火力1518万kW、水力436万kWが補修停止)。6月30日から7月中旬にかけて、約715万kWの火力発電所が順次稼働予定とされている。

図2.火力発電所(全国)月別補修量分布(2022年度) 出所:電力・ガス基本政策小委員会

 国は5年ぶりに「電力需給に関する検討会合」を6月7日に開催し、需給逼迫に備えていたが、これも7月〜9月の高需要期を想定した検討であった。

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