前述の試算結果を踏まえ、調整力の過不足状況を想定したものが、以下の表3である(ピンク色のセルは、調整力必要量が供出可能量を上回るブロック)。
風力発電の追加導入が200万kW程度であれば、調整力不足の発生は、火力並列台数が少なくなる軽負荷期(春・秋)の昼間帯に限られるが、風力追加導入が300万kWを超えると、季節や時間帯に関係なく調整力不足が発生することが予想される。
調整力は、火力発電や揚水発電のほか、蓄電池、デマンドレスポンス(DR)、地域間連系線を通じた他エリアの電源等から供出されるが、揚水や連系線の建設には長い年月を要することや、DRは主に三次②等の低速調整力に限られるという課題が存在する。
このため、リードタイムが比較的短く、幅広い調整力を供出できる系統用蓄電池の導入拡大が期待されている。
北電NWでは、系統用蓄電池の導入環境整備の一つとして、蓄電池設置適地の情報提供や貸与のほか、系統混雑の対策を検討している。
蓄電池がその機能を十分に発揮するためには、順潮流・逆潮流双方で適切な送電容量が必要となるが、専用の制御装置により、順調流側の混雑状況に応じて蓄電池の充電量を制御することが検討されている。
また水電解装置は再エネの余剰電力を吸収し、水素を製造・貯蔵することが可能であるとともに、その出力を制御することにより調整力の供出も可能である。また、変動再エネ(風力等)自体も一定の調整力を供出可能であり、出力制御時であれば、「上げDR」も可能である。
よって調整力の新たな供出リソースとしては、蓄電池に固執することなく、費用対効果の良いリソースから順次活用される制度設計が期待される。
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