企業が自社製品・サービスのCFPを算定するためには、当該商品等に適用可能な具体的な算定ルールが必要となる。
一般的にこれはPCR(Product Category Rule:製品カテゴリールール・商品種別算定基準)と呼ばれ、日本の「SuMPO環境ラベルプログラム」では41カテゴリーにおいて、PCRが認定されている。
具体的なPCRが存在しない製品カテゴリーにおいては、「ISO14067」や「GHG Protocol "Product Standard"」といった国際規格が参照されるものの、これら規格で具体的に規定されていない部分については、企業が独自に算定方法を設定せざるを得ない状況である。
この結果、異なる算定方法に基づくCFPを直接的に比較することが出来ず、グリーン製品の適切な選択が困難となる。
またサプライチェーン上の事業者にとっても、複数の算定方法で算定することによる業務負荷の増大という課題が存在する。
CFPの算定に限らず、正確性担保の観点からは可能な限り一次データを使用することが望ましい。
ただし、工場単位でエネルギー使用量およびCO2排出量を把握することは相対的に容易であるのに対して、製品単位での把握は複雑であり、業務負担が大きいといった課題がある。
また例えば完成品メーカーが自社製品のCFPを算定するためには、上流の部品メーカー等の一次データの入手が必要となるが、部品メーカーの負担が大きいことや、技術的な機密保持の観点から情報開示が困難となるケースも存在する。
このため現在は、CFP算定において二次データ(産業の平均値等のデータベースの数値)を使用する企業が大半である。
二次データは簡便に使用できるといった長所がある一方、上流の部品メーカー等が実際にCO2排出量を削減したとしても、その成果はCFP算定に反映されないといった短所がある。
これに対してWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)は、一次データを取得・使用するためのガイダンスとなる「Pathfinder Framework」を策定し、一次データの使用が推奨されている。また国内でも、デジタル技術を活用した一次データに基づくCFP算定に関する取り組みが広まりつつある。
現在は複数の企業や団体の間で、異なる技術・手法の健全な競争が行われている段階であるが、ユーザーの業務重複を避ける観点からも、将来的には一定の共通化・統合が進められることや、日本企業による国際規格への反映・改定をリードすることが期待される。
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