日本の再エネ電源別にみる現状と課題――各業界団体の政府に対する要望は?自然エネルギー(2/5 ページ)

» 2022年11月14日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

風力発電の現状と課題――日本風力発電協会ヒアリング

 国内の風力発電は2020年時点で4.8GWが導入されており、2030年エネルギーミックスでは23.6GWの導入目標が掲げられている。また洋上風力では2030年までに10GW、2040年までに30〜45GWの案件を形成する官民目標も設定されている。

 世界的に洋上風力の導入計画は増加しており、EUでは2030年までに約165GWの洋上風力を導入する方針が示されている。

 日本は洋上風力産業に関するサプライチェーンが未形成であることや、諸外国と比べて市場規模が小さいことなどから、当面はコスト高であることが課題とされており、予見性の高い洋上風力市場の創出による早期のサプライチェーン構築が必須とされている。

 他方、世界的な資機材価格の高騰や円安により、風車等のコストも上昇している。IRENAによると、風力発電機の主な原材料である鉄鋼は、2020年と比べ2021年〜2022年には2倍以上に高騰している。

図2.風力発電機の主要な原材料コスト 出所:IRENA

日本風力発電協会(JWPA)からの要望

 日本風力発電協会(JWPA)は現在の物価高騰等への対処措置として、FIT/FIPに「物価変動による資本費の調整条項(エスカレーション条項)」を導入することを要望している。なおこれは物価の上昇方向だけなく、下落方向についても調整することを前提としている。

 JWPAが提案するエスカレーション条項の概要は、発電コストのうち資本費(設計費、設備費、工事費、接続費)のみをその適用対象として、応札時から設備および工事等発注時までの間を適用期間とするものである。

図3.エスカレーション条項適用期間 出所:日本風力発電協会

 物価変動の大小は、日本銀行調査統計局が公表する企業物価指数等の客観的・公的な指数を参照する。

 JWPAではこのエスカレーション条項を、年内に開始する洋上風力占用公募(第2ラウンド)から導入することを要望している。

 なお国内では類似の制度として、公共工事請負契約では「スライド条項」が適用されており、また2023年度から開始予定の「長期脱炭素電源オークション」では1年ごとに消費者物価指数(コアCPI)で物価補正を行うことが予定されている。

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