バイオマス分野にも複数の業界団体が存在するが、バイオマス発電事業者協会(BPA)の会員の多くは大規模な木質バイオマスであり、燃料は輸入と国産の両方がある。
2022年3月現在、「未利用木質」および「一般木質・農作物残さ」を燃料とするバイオマス発電の導入量は271万kWであり、2030年には566万kWまで増加すると想定されている。
バイオマスは他の再エネ電源と異なり、燃料の調達・輸送が必要となることが特徴である。他の再エネ電源では、物価上昇と円安により、資機材コストの上昇が報告されていたのに対して、バイオマスでは特に輸入燃料において、燃料そのものの価格や海上輸送コストが急騰していることが報告された。
一般的にFIT認定事業者は、燃料の安定調達のためにバイオマス燃料調達の長期契約を締結しているが、燃料消費量の増減等に備える調整弁として、一定量をスポット調達している。輸入バイオマス価格の高騰は、このスポット調達部分に大きな影響を与えることとなる。
またロシア森林認証の中断措置等により、ロシア産木材や木質ペレットの供給が減少/停止したことにより、バイオマス燃料の世界的な需給逼迫が生じており、価格高騰だけでなく、現物そのものが入手できないという事態も懸念されている。
このためBPAは代替燃料として、農産物残渣をFIT新規燃料として早期に承認することを要望している。
また、バイオマス発電のFIT運転開始期限は4年であるが、コロナ禍による発電所機器の納期遅延等が生じているため、BPAでは運転開始期限を5年に延長することを要望している。
なお日本木質バイオマスエネルギー協会からは、国内の木質チップ価格等が報告されており、「製紙用」チップ価格は安定的であるものの、燃料用チップは一部地域において、需給逼迫や価格上昇の動きがあることが報告された。
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