バイオマス発電の持続可能性評価基準としてライフサイクルGHG排出量の「基準値」を設定するためには、比較対象となる電源(発電種別:火力等)の選定や、比較対象電源に対する「削減率」を定める必要がある。
つまり化石燃料火力発電と比べて、ライフサイクルベースで見た際のGHG排出量が仮に同等であるならば、それは持続可能な燃料とは言えない、という考え方である。
WGでは、諸外国と比べ遜色のない削減目標とする観点から、EU RED IIに倣い、
とすることとした。これを具体的に表したものが、表2である。
電源構成比は第6次エネルギー基本計画に基づき、GHG排出量は「日本における発電技術のライフサイクルCO2排出量評価」(電力中央研究所)に基づいている(ただし、設備構築分を除いた値)。ライフサイクルGHGであるため、例えば石炭採掘や輸送に関わるGHG排出量も含まれている。
なお一般的にCO2排出係数はkg/kWhで表されるため、表2では参考までに換算値を加えている。この180g-CO2/ MJ電力(0.648kg/kWh)が基準値となる。
また削減率としては、諸外国と比べ遜色のない削減目標とする観点から、FIT/FIP制度においては液体・固体・気体に対して一律に、2030年時点で▲70%を適用する。
なお、事業者への影響や排出量削減の対応に必要となる時間を考慮し、段階的に削減率を引き上げることとして、制度開始から2029年度までの間の削減率は▲50%に緩和される。
なお2031年度以降の新たな削減率については、2025年度頃を目途にサプライチェーン全体での取り組み状況や国際的な議論の動向等を確認した上で、検討することとされた。バイオマス燃料の製造や輸送に関わるエネルギー全体が低炭素化・脱炭素化することにより、バイオマス燃料そのもののライフサイクルGHGの低炭素化が進むものと期待される。
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