ライフサイクルGHGの確認方法としては、既定値を適用する方法と個別計算による方法の2種類が想定されている。
既定値方式の場合、バイオマス種別や燃料製造方法、輸送距離等の条件を設定し、その条件を満たす燃料に適用可能なライフサイクルGHGの値をあらかじめ国が設定しておく。
適用条件を満たすか否かのみを確認するため、個別計算と比べて確認のコストが掛からないことがメリットである。
WGでは今年度、EU RED II等を参考として、「農産物の収穫に伴って生じるバイオマス(輸入)」や輸入木質バイオマス、国内木質バイオマスを対象に、ライフサイクルGHG既定値案が作成された。
規定値はあくまで簡易的な手段であり、個々の事業者が詳細な条件を特定し、個別計算によってライフサイクルGHGの削減量を確認することを妨げるものではない。
また一部の工程については既定値を適用し、その他の工程は個別計算をすることで全体のライフサイクルGHGを把握することも可能である。
事業者が既定値を適用する際には、例えば、実際の輸送距離が既定値の区分の範囲内であることを証明する必要がある。これら既定値については、今後パブリックコメントを実施した後に確定される予定である。
以下では代表的なバイオマス燃料の規定値を抜粋するが、その単位は、バイオマス燃料発熱量当たりのライフサイクルGHG(gCO2/MJ燃料)であるため、既定値を発電効率で除することで、発電電力量当たりの値を算出する必要がある。
アブラヤシに由来するバイオマスのうち、パーム粗油(CPO)やパームステアリンでは、その栽培工程に由来するGHG排出量が計上されるのに対して、PKSは目的生産物ではないと判断されるため、搾油工場からの輸送工程以降の排出量のみが計上されている。
よって、ライフサイクルGHGの大半を海上輸送が占めている。
輸入木質バイオマスについては、木質チップと木質ペレットについて、3種類の原料種(林地残材等・その他の伐採木・製材残渣)に応じた既定値を設定した。
木質ペレットについては、乾燥工程の熱源として化石燃料(天然ガス)を利用するケースとバイオマス燃料を利用するケースの2種類の区分が設けられている。
国内木質バイオマスについても輸入木質バイオマスと同様に、3種類の原料種に応じた既定値が設定されている。
また輸送工程については、トラックの最大積載量と輸送距離に応じた区分を詳細に設定し、輸送対象物(原木・チップ・ペレット)別の既定値として整理した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.