現在の供給予備率の考え方としては、まず年間を通じて一定の予備率(偶発的需給変動対応分)7%を確保したうえで、夏季・冬季には、さらに厳気象対応分2%および稀頻度リスク対応分1%を考慮した予備率を設定している。
ところが2022年には3月や6月といった「春季」に、東京・東北エリアにおいて厳寒・猛暑による需給逼迫が発生したため、あらためて厳気象・稀頻度リスクの織り込み方が検討されることとなった。
まず春季・秋季における厳気象対応分については、広域機関による試算の結果、夏季のH3需要想定に対して平均で2.6%となった。ここから、発電機の補修調整など運用面での対応に期待して、保守的に2%を織り込むこととした、
また同じく夏季・冬季についても最新の需給データを元に試算を行った結果、厳気象対応分は3%に増加された。
また稀頻度リスクとは、単機最大ユニット脱落など、厳気象対応を踏まえた必要供給力を上回る供給力低下リスクを指しており、現在は夏季・冬季のみ、H3需要想定に対して1%が確保されている。
このような稀頻度事象は春季・秋季においても対応が必要となることから、春季・秋季についても同じく1%を必要予備率に加算することとした。
持続的需要変動とは、流行や景気変動など季節・年間を超えて周期性をもって変動する循環成分であり、これに対応する予備力(予備率)はこれまで暫定的に1%と設定されてきた。
今回、広域機関で検証したところ、従来手法および新たなDECOMP法のいずれにおいても2%という分析結果が得られた。このため、持続的需要変動対応分の必要予備力は2%へ見直すこととした。
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