仮にすべての「供給計画時点からの停止・抑制の『変化量』」を捉える場合、大規模災害や燃料制約に起因する停止量も含むこととなる。
上述のとおり供給信頼度評価においては、すでに厳気象対応分や一定の稀頻度リスク分が考慮されているが、容量市場での調達費用が過度に増加することを防ぐため、大規模震災等に対しては、新たな「予備電源」の仕組みで対処する予定としている。
このため、大規模災害による電源の停止・抑制については、EUE算定向け計画外停止率から除外することとした。最近の事例では、2021年2月の福島県沖地震による停止がこれに該当する。このような適正な「除外」は、容量市場における調達量がいたずらに増大することの抑止となる。また、燃料制約による停止・抑制も、EUE算定向け計画外停止率算定から除外することとする。
そもそもEUE算定では、計画外停止率が上昇すると必要設備容量(kW)が増加することとなるが、燃料制約のもとでは設備容量が存在しても、発電電力量(kWh)を増やすことは出来ないためである。
以上より、EUE算定向け計画外停止率の見直し結果をまとめると表2のとおり、火力では計画外停止率が4.3%と大きく上昇する。ただし、この最大の要因は抽出方法の見直しであり、至近3年間で計画外停止率そのものが著しく増加したとは言えず、過去データにおいても同等の計画外停止率であった可能性が高いと報告されている。計画外停止率については、今後も3年周期でデータを集約・分析する予定である。
現在EUEでは地域間連系線の計画外停止等は織り込まず、健全な状態(年間運用容量)として算定している。
連系線の運用容量の増減は供給信頼度評価に大きく影響を与え得るため、広域機関では至近の3カ年(2019〜2021年度)の実績データを用いて、連系線の作業停止や計画外停止等が連系線運用容量に与える影響を検証した。
この結果、連系線の作業停止では、全連系線合計・3カ年平均で3%程度運用容量が減少するのに対して、年間計画から実需給に向けては算出断面を細分化することで運用容量が1%程度増加することが明らかとなった。
また広域機関では以下の4つのケースについてシミュレーションを実施した結果、必要供給力への影響はそれほど大きくないことが確認された。このため、従来と同じく、連系線の計画外停止等は見込まず、健全な状態(年間運用容量)として算定することとされた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.