2024年度から始まる託送料金の「発電側課金」、その概要と発電事業者への影響を解説再エネ発電事業者にも影響(2/4 ページ)

» 2023年03月01日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

発電側課金の課金対象となる電源

 発電側課金の課金対象は、公平性の観点から、系統に接続し、かつ、系統側に逆潮させている原則すべての電源を課金対象とする。これには、自己託送を用いた電源も含まれる。

 他方、この例外として、住宅用太陽光発電のように最大受電電力が10kW未満と小規模な電源は、当分の間、課金対象外とする。

 また、発電側課金の検討過程で大きな紆余曲折があったものが、既認定のFIT/FIP電源の取扱いである。結論としては既認定のFIT/FIP電源は、それぞれの調達期間/交付期間が終了した後に、発電側課金の対象となる。

 調達期間等内の既認定FIT/FIP電源は発電側課金を負担しないと整理したことにより、この部分を他の誰かが負担する必要性が生じた。

図3.FIT既認定案件が免れた発電側課金相当額

 仮に他の電源がこれを負担するとした場合、他の電源の費用負担が大きくなり、電源間での競争に多大な影響を与える恐れがある。このため既認定FIT/FIP電源の減免分は、従来制度と同様に、小売電気事業者を通じた需要側の託送料金で負担することとした。

 なお、新規FIT/FIPや非FIT/卒FIT電源は、発電側課金の対象となる。新規FIT/FIPについては、今後の調達価格等の算定において「供給が効率的に実施される場合に通常要すると認められる費用」の一つとして、新たに発電側課金を考慮することとなる。

 FIT/FIPの調達価格等は全国的に共通であるのに対して、発電側課金の単価はエリアにより異なる(同一エリア内でも場所により割引の有無が異なる)ため、発電側課金の安価な場所を選定することが、FIT/FIP電源の採算性確保に重要なポイントとなる。

発電側課金の課金方法

 発電側課金は、kW課金(固定料金)とkWh課金(従量料金)の組み合わせにより実施する。発電側課金の制度開始当初は、このkW課金:kWh課金の比率は1:1として、今後の送配電設備の整備費用の実態を踏まえ、見直すこととする。なおkW課金の対象kWは、需要側の託送契約kWを上回る発電側の逆潮kW分とする。

図4.kW課金の対象kW 出所:制度設計専門会合

 また揚水発電・蓄電池については、kWh課金を免除することとされた(kW課金は対象)。これは、揚水発電・蓄電池では揚水・蓄電ロスが発生するため、kWh課金面で他の電源と比べて不利になることを避けるためである。

 発電側課金の基本形は上記のとおりシンプルなものであるが、実際には、既認定FITバイオマス混焼の火力電源や、1つの需要場所(発電場所)に複数の契約がある事例、立地エリアとは異なるエリアの一般送配電事業者の系統に連系する電源など、多種多様な例外的事例が存在する。これらの詳細については本稿では割愛することをご容赦願いたい。

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