2024年度から始まる託送料金の「発電側課金」、その概要と発電事業者への影響を解説再エネ発電事業者にも影響(3/4 ページ)

» 2023年03月01日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

発電側課金における対象費用の考え方

 送配電設備は図5のように、多種多様な設備で構成されている。発電側課金は、送配電関連費用のうち、発電側・需要側の両方で等しく受益していると考えられる上位系統(基幹系統及び特別高圧系統)に係る費用のうち、固定費を対象とする。今後はこの対象範囲を見直すことも想定される。

図5.発電側課金の対象費用 出所:制度設計専門会合

 また当該部分の費用負担割合としては、発電側と需要側の課金対象kWで按分する。調達期間等内の既認定FIT/FIPを含めないことを踏まえた、発電側負担額の算出方法は図6のとおりである。

 なお託送料金の制度改革により、2023年4月からレベニューキャップ制度が開始される。レベニューキャップ制度の規制期間は5年間であるが、発電側課金の制度期間も同じく5年として、発電側課金単価を5年ごとに見直すこととする。ただし、レベニューキャップ制度の第1規制期間は2023〜2027年度であることから、1年遅れで開始される発電側課金の第1期間は2024〜2027年度とする。

図6.発電側負担額の算出方法 出所:制度設計専門会合

 現時点において、発電側課金の具体的な単価は公表されていないが、仮に100%kW課金とする場合、全国平均で1,800円/kW・年程度と試算されている(実際には50%のkW課金:900円/kW+50%のkWh課金)。

 需要側の託送料金を算定する際にも、将来の需要や供給を想定する必要があるが、発電側課金の算定にあたっては、「供給計画」をベースとして、想定発電kW・kWhを設定する。ただし、供給計画には記載されていないデータもあることから、過去実績等を用いて必要なデータを算出する。

発電側課金の割引制度

 現行の需要側託送料金では、電源の立地地点による割引制度として、「需要地近接性評価割引制度」が設けられているが、発電側課金の導入に伴い、これを廃止する(経過措置あり)。

 その代替として、発電側課金では、電源が送配電設備の整備費用に与える影響を踏まえた新たな2つの割引制度を導入する。

 「割引A」は、基幹系統の将来的な投資を効率化し、送電ロスを削減する効果のある地域に立地する電源が対象となる。割引Aは、投資効率化等の効果の大小により、3つの異なる割引額が設けられる。

 「割引B」は、特別高圧系統の将来的な投資を効率化する効果のある電源(高圧又は低圧に接続)が対象となる。割引Bは、投資効率化等の効果の大小により、2つの異なる割引額が設けられる。

図7.割引A・Bの適用イメージ 出所:制度設計専門会合

発電側課金はkW課金とkWh課金の2つから構成されているが、割引A・Bのいずれも、kW課金のみを対象とする。これは、電源が送配電設備に与える影響は契約kWに依存する面が大きいことや、発電電力量kWhへの課金は受益に応じた課金という側面もあり、地域によって大きな差を設けないことが適当と考えられるためである。

なお、特定の電源に対して割引を付与するということは、その割引原資に相当する金額を誰かが負担する必要がある。発電側課金制度では、当該エリア内の電源がこれを均等に負担することとした。

図8.割引相当額の均等配分イメージ 出所:制度設計専門会合

 割引対象地域及び割引額は、課金単価の扱いと同様に、5年ごとに見直すこととする。この見直しにより、割引対象から外れることや割引が小さい区分に変更となることが想定される。このような場合、電源投資に対する予見性確保の観点から、割引の延長措置を講じることとして、変更となった5年間は当初の割引額が維持される。

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