今後の太陽光・風力の出力制御はどの程度か? 長期見通しと低減策の試算結果エネルギー管理(4/5 ページ)

» 2023年03月22日 11時30分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

地域間連系線の活用(ステップ5)

 再エネ出力制御のさらなる回避措置として、地域間連系線を活用し他エリアに送電することにより、下げ代を確保する。ただし、地域間連系線を活用した長期的な送電量を想定することが難しいため、出力制御の見通し算定にあたっては、連系線活用量を0%、100%の2パターンとして算定を行う。

 また連系線活用量の算定に当たっては、運用容量すべてが使用できるわけではなく、マージンや他エリア間の送電可能量、長期固定電源の他エリアへの送電分を運用容量から控除する必要がある。図5の東北エリアの例では、運用容量420万kWに対して、162.3万kWが連系線「100%活用」と位置付けられる。

図5.東北東京間連系線活用100%のイメージ 出所:東北電力ネットワーク

 なお、東京・中部・関西の中三社については、現在でも連系線を通じた受電側であるため、中三社から他エリアへの送電は見込まないものとする。

軽負荷期の需給バランス

 東北エリアを例として、軽負荷期(ゴールデンウイークを除く)の昼間最低需要日の需給バランス(kWバランス)を試算したものが表4である。

 2031年度の再エネ連系量(ケース1)を太陽光1,573万kW、風力446万kWと想定し、需要は815.9万kW(2021年度実績)と想定するならば、再エネ出力制御必要量は、約1,211万kWに上る。

表4.東北エリア 軽負荷期の需給バランス(2031年度) 出所:東北電力ネットワーク

 なお、同様の前提条件で試算した場合、最大の需要地である東京エリアにおいても、軽負荷期には427万kWの再エネ出力制御が行われる見込みである(中部・関西も同様)。

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