欧州では、2020年の「EUクリーン水素戦略」や2021年「欧州脱炭素化政策パッケージ(Fit for 55)」、2022年「REPowerEU計画・水素加速化計画」により、水素の導入計画を加速している。
2030年の水素導入目標は2,000万トン(域内1,000万+輸入1,000万)、水素電解槽を2025年に17.5GW、2030年までに40GWへの拡大を目標とする。
また、再生可能エネルギー指令(REDIII)のもと、法的拘束力のあるかたちで、産業セクターでの水素需要におけるRFNBO(非生物起源の再生可能燃料)比率を、2030年までに42%、2035年までに60%に転換することが求められる。
風力発電ポテンシャルの豊富な北海周辺及びスペインにて、多数の水素関連プロジェクトが公表されており、ドイツ、オランダ、デンマーク、スペイン、イギリスは既に2030年国家目標の達成が見込まれている。
現在公表されているプロジェクトベースでは、水素需要(2030年時点)の過半を鉄鋼が占め、アンモニア、石油精製を加えると全体の8割を超える。水素需要を国別に見ると、これらの産業を多く抱えるドイツ(2,112ktH2/年)が突出している。
欧州では、域内での水素輸送や域外からの輸入を支えるインフラとして、2030年までに約28,000km、2040年までに約53,000kmの水素パイプラインを整備し、欧州全体で5つの水素供給・輸入回廊の形成を目指している。
またドイツでは、ダブルオークション方式による欧州域外からの水素輸入サポートメカニズムである「H2Global」を開始しており、2022年12月に初めての入札が行われた(予算総額は9億ユーロ)。2023年度予算として当該スキーム向けに35億ユーロを確保しており、2036年までの10年間の輸入に向けた入札を実施する予定である。
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