諸外国と比較して、日本の再エネ出力制御率が高いのではないかとの指摘が一部にある。例えばアイルランドにおいて制御率が4%程度になったのは、変動再エネ比率が20%を超えた時点であり、九州エリアの現在の変動再エネ比率10%余りを大きく上回る。
これは、アイルランドでは変動再エネのほぼ全量が風力発電であるのに対して、九州エリアではそのほとんどを太陽光発電が占めることの違いによる。
風力発電は、年間で平均すれば24時間の発電出力曲線が平坦であり、設備利用率も高い(30%程度)のに対して、太陽光は昼間に発電が集中し、設備利用率が低い(15%程度)という違いがある。
これは、残余需要(需要−風力・太陽光)の変動に大きな違いをもたらしている。再エネ導入量の多いドイツやスペインと九州エリアにおける残余需要の推移を表したものが図4である(2022年度)。
図4は、「各時間帯の残余需要÷1日のうち残余需要最大時の残余需要」を残余需要比率として、当日の最大値を1として描いたグラフである。残余需要比率がマイナス値となった九州エリアでは、再エネの出力制御の必要性が高いことが分かる。
再エネ出力制御の低減に向けた取組として、国や一般送配電事業者は、供給・需要・系統それぞれの対策を進めてきた。
具体的には、
などが上げられる。
一般送配電事業者各社は、電源III(一般送配電事業者からオンラインで調整できない火力電源等)のさらなる最低出力の引き下げの協力を求めており、例えば中部エリアでは、火力(定格出力50%以下区分)では、最低出力の平均は35%となっている。
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