各エリア一般送配電事業者による2023年度の再エネ出力制御率の見通しは表2のとおりであり、九州エリアでは過去最高の4.8%が見込まれている。
この試算の前提条件として地域間連系線の利用率は、東北・九州では100%、北海道・北陸・中国・四国は50%、中部は0%(※受電エリアであるため)としている。
なお、ゴールデンウイークを含む春季の最小需要日(2023年)のエリア需給バランス実績は表3のとおりであった。需要に占める変動再エネ(太陽光・風力)の比率は、中国・四国・九州エリアで100%を超過しており、東北・中部エリアで90%超となっている。
関西エリアでは5月時点、変動再エネの出力制御は実施されていないが(※)、軽負荷となった2023年3月19日、4月9日には、バイオマス発電に対する出力制御が指示された(※6月3日に関西エリアで初の再エネ出力制御率を実施)。
関西電力送配電では、下げ調整余力が不足した原因の一つとして、小売電気事業者による「過調達」があったことを報告している。
ここでいう「過調達」とは、小売事業者が自社需要以上の供給力をエリア内外から調達することを意味している。過調達が多い場合、関西エリア内の火力等を抑制しても、下げ調整力の不足により、再エネ出力制御が発生しやすくなると考えられる(図3では、Bエリアが関西に該当)。
過調達自体は以前から発生しているが、今年3月から急激に増加している。関西電力送配電から小売事業者に対するヒアリングによれば、相対契約で受電量が決定されており、契約変更が難しいことや、スポット市場や時間前市場で過調達分を売り入札をしたものの約定せず、過調達が解消できなかったとの回答であった。
過調達とは、小売事業者が余剰インバランスを発生させることにほかならず、計画値同時同量に基づく適正な計画提出が実施されていないことを意味する。このため、電力広域的運営推進機関は4月18日に、過調達の多い小売事業者5社に対して注意喚起を実施した。
現時点、過調達の実態については不明な点も多く、関西以外のエリアでも発生している可能性もあり、詳細な調査が望まれる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.