大気中のCO2を除去する「ネガティブエミッション」、日本での市場創出に向けた検討がスタート法制度・規制(3/4 ページ)

» 2023年06月09日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

NETsに由来するカーボンクレジットの活用

 炭素除去(CDR)の促進のためには、 CO2排出を行う主体と除去の取組を行う主体との間で、CO2除去の価値を取引するためのカーボンクレジットの活用環境を整えることが重要である。

 現在、国内の公的な制度であるJ-クレジット制度において、炭素除去に該当する方法論として、植林活動等による吸収やバイオ炭の農地施用などがあるが、吸収系クレジットの認証量等は、ごく限定的である。

図3.クレジット種別 認証量、無効化・償却量(2022年度末までの累計) 出典:J-クレジット制度事務局

 東京証券取引所における2022年度の「カーボン・クレジット市場」の実証では、吸収系クレジットの売買量はごく僅か(取引全体の1%未満)であったものの、取引価格(加重平均)は14,571円/t-CO2と、省エネ系:1,431円、再エネ系:2,953円を大きく上回り、その価値は高く評価されている。

 また、GXリーグにおける排出量取引制度(GX-ETS)において、現時点、適格カーボンクレジットとして位置付けられるのはJ-クレジットとJCMのみであるが、J-クレジット制度によらない国内の吸収・除去系ボランタリークレジットについても、今後の活用検討が予定されている。

 海外では、炭素除去に特化したボランタリークレジットの発行および取引市場を運営する「Puro.earth」社があり、独自の方法論に基づき、バイオ炭、CO2貯蔵建設資材(CO2ネガティブコンクリートなど)、風化促進、DACCS/BECCS、木質バイオマスに由来するカーボンクレジットが取引されている。

 また国内でも、三菱商事等が「NextGen CDR Facility」を設立し、第三者認証を取得した技術系CDR由来のカーボンクレジットを共同購買する取組を開始している。NextGenでは、2025年までに累計100万トン以上の技術系CDRクレジットの購入を目指している。

図4.NextGen CDR Facilityのイメージ 出典:ネガティブエミッション市場創出に向けた検討会

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